1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570862
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 正巳 京都大学, 医学部, 助手 (10185241)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新宮 興 京都大学, 医学部, 助教授 (90093252)
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Keywords | 笑気 / 最大電撃痙攣 / 抗痙攣薬 / GABAレセプタ- / 4ーアミノピリジン / ペンチレンテトラゾ-ル / ビククリン |
Research Abstract |
笑気は強力な抗痙攣作用を有するが、それに関する報告は少ない。また笑気の抗痙攣作用の機構に関しては不明な点が多い。本研究の目的は各種誘発痙攣に対する笑気の抗痙攣作用の違いよりその機構を解明することである。検討する誘発痙攣は1)最大電撃痙攣、薬物として2)局所麻酔薬のリドカイン、3)GABA拮抗薬のペンチレンテトラゾ-ル、およびビククリン、4)カリウムチャンネル遮断薬の4ーアミノピリデインである。 1)ラット最大電撃痙攣法では強直性伸展痙攣を指標とし、その持続時間および痙攣の強度を観察した。対照値の11.9±1.1(MEAN±SD)secが笑気吸入(30%,50%,70%)によりそれぞれ8.7±0.9sec,6.3±0.9sec,5.8±0.5secとなり笑気の抗痙攣作用が用量依存性に増強されることが確認できた。最大電撃痙攣に対するジアゼパムの抗痙攣作用も用量依存性に増強され、70%笑気吸入がジアゼパム5mg/Kg i.pに相当することが分かった。また、両者の併用は相乗的な効果を呈した。2)リドカイン、3)ペンチレンテトラゾ-ルおよびビククリンの持続注入により、空気と70%笑気吸入による痙攣誘発量の変化を測定した。リドカイン、ペンチレンテトラゾ-ルおよびビククリンでは笑気吸入により痙攣誘発量の増加が認められた。4)4ーアミノピリデインの持続注入では笑気の痙攣抑制はみられずジアゼパム5mg/Kg i.p.で有意に抑制された。 これまで我々や他の研究者らは笑気の急性耐性について報告しているが、最大電撃痙攣法では2時間までの笑気吸入による抗痙攣作用での急性耐性の発現は認められなかった。 今回の研究では笑気の抗痙攣作用が脳の抑制系を賦活させることによることが示唆された。しかし、これが笑気の直接作用(GABAレセプタ-への)かどうかは明確でない。笑気の抗痙攣作用における脳内モノアミンの役割を調べる必要がある。
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[Publications] Avramov MN: "Anti convulsant effect of nitrous oxide in rats."
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[Publications] 大澤 正巳: "笑気の抗痙攣作用と急性耐性(蘇生後の痙攣における笑気の使用)"
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[Publications] Avramom MN: "Nitrous oxide antagonizes CNS stimuration by laudanosine in mice." Britist Journal of Anaesthesia. 65. 704-707 (1990)