1990 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴法による蛋白質と揮発性麻酔薬の相互作用に関する研究ー麻酔機序に関してー
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01570863
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉矢 生人 大阪大学, 医学部, 教授 (80028505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真下 節 大阪大学, 医学部, 講師 (60157188)
谷口 吉弘 立命館大学, 理工学部, 教授 (70066702)
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Keywords | 溶解度 / 水 / ガス 分配係数 / 19FーNMR / メトキシフルレン / ハロセン / エンフルレン / イソフルレン / 麻酔理論 |
Research Abstract |
〈1〉吸入麻酔薬と蛋白質の疎水性相互作用を探る目的で、19FーNMRによりメトキシフルレン、ハロセン、エンフルレン、イソフルレンの水溶解度の測定を行なった。従来の溶解度デ-タの問題点を指摘し、新しい方法論を確立した。従来の問題点は(1)吸入麻酔薬の飽和濃度はへンリ-の法則を用いた換算値が使用され、飽和濃度を実測したものはなかった。(2)飽和溶液を作製する容器の材質に問題があり著しく実験精度を下げていた。(3)測定の標準溶液が不安定で標準としての信頼性に問題があった。(4)試料を測定機器に移送する際、吸入麻酔薬の濃度変化を起こす操作が含まれていた。(5)溶けずに分散している吸入麻酔薬の濃度を溶解したものとする測定方法が取られていた。(1)(2)(4)に対してテフロンを使用し、加圧下に移送できる容器を考察し飽和溶液を作製した。(3)に対し、吸入麻酔薬を安定に溶解するエタノ-ルを溶媒に用いた。(5)に対し、溶存状態の麻酔薬のみを選択的に検出できる19FーNMR法を用い、定量法を確立した。研究成果を欧文雑誌に投稿中である。また、この成果を利用して、αーキモトリプシン・麻酔薬相互作用の機序の解析を行ない、欧文雑誌へ投稿準備中である。 〈2〉吸入麻酔薬の溶解度の温度変化を測定し、吸入麻酔薬の水構造への寄与を疎水性相互作用(疎水性水和)の立場から熱力学的解析を行なった。〈1〉で確立した方法論を用い、メトキシフルレン、ハロセン、エンフルレン、イソフルレンの溶解度を15ー37℃で測定した。温度変化から溶解の部分モルエンタルピ-、部分モルエントロピ-を求め、溶解度から部分モル混合エントロピ-を求めた。溶解エントロピ-と混合エントロピ-の差から、吸入麻酔薬の溶解によるアイスバ-グ形成のエントロピ-とエンタルピ-を計算した。研究成果は、欧文雑誌へ投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Tomoyoshi Seto.Masaru Kamishiro.Takashi Mashimo,Yoshihiro Taniguchi,and Ikuto Yoshiya: "The sblubitity of volatile anesthetirs in water at 25℃ by 19FーNMR_1" Biochimica et Biophysica Acta.
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[Publications] Tomoyoshi Seto,Syoichi Makimoto,Takashi Mashimo,Ikuto Yoshiya,and Yoshihiro Taniguchi: "Activation phenomena of αーchymitrypsin catalized hydrolysis by general anesthetirs" Biochimica et Biophysica Acta.