1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570868
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
吉村 望 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60041399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鮫島 照子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10041328)
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Keywords | 肝阻血 / 肝障害 / 吸入麻酔薬 / 低酸素 |
Research Abstract |
術後の肝障害の一因として麻酔薬による、呼吸、循環抑制による肝の低酸素や麻酔薬自体の代謝が関与していると考えられており、麻酔薬は肝切除等の際の予後に影響を及ぼすと考えられる。今回我々は肝の一部を阻血し阻血肝に生じる病態と吸入麻酔薬の影響を検討した。方法)9週令の雄ウィスタ-系ラットを用いてエ-テル麻酔下で肝の内外側左葉の阻血を行った。<実験1>吸入酸素濃度による影響を30%酸素濃度、9%酸素濃度で比較した。実験群として酸素のみの無麻酔群、2%ハロセン群、1.5%セボフルレン群をつくり、30%又は9%酸素(低酸素)下で各々を吸入させながら15分阻血をした。阻血解除後さらに45分間吸入させ、24時間後の阻血肝の壊死面積率と、血清逸脱酵素活性、吸入終了時の肝アデニンヌクレオテド、吸入前後の直腸温を測定した。<実験2>無麻酔群、2%ハロセン群、1.5%セボフルレン群、1.5%エンフルレン群、1.2%イソフルレン群をつくり、30%酸素下で各々を1時間吸入させながら65分又は30分阻血した。結果)壊死面積率は阻血により高くなり15分阻血で軽度、30分阻血で重篤な肝障害が生じた。又低酸素おより高い値を示した。ハロセン、セボフルレン群では無麻酔群よりむしろ低い傾向を示した。血清逸脱酵素活性は15分阻血で上昇し30分阻血で著しく上昇したが、低酸素およる影響はなかった。麻酔群では無麻酔群よりむしろ低値であった。肝ATP、Enorgy chorge、ATP/ADP Di比は阻血により低下したが麻酔群では無麻酔群より高く、肝エネルギ-レベルは高く保たれた。低酸素による影響はなかった。直腸温は阻血、低酸素、麻酔薬により低下した。結論)阻血により肝障害が生じたが、ハロセン、セボフルレンでは障害を抑える傾向にあった。イソフルレン、エンフルレンでも障害を強めなかった。
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