1989 Fiscal Year Annual Research Report
ショック不可逆性成立における白血球および白血球由来酵素の役割
Project/Area Number |
01570869
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小田 利通 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (90041342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
益山 隆志 鹿児島大学, 医学部附属病院, 助手 (10190373)
鮫島 照子 鹿児島大学, 医学部, 助手 (10041328)
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Keywords | エンドトキシン / 白血球 / 微小循環 |
Research Abstract |
本年度は主としてエンドトキシン投与時の微小循環系における白血球の動態について検討した。 <研究方法>体重80-100gのハムスタ-を用い、背部皮膚に微小循環観察用透明窓を装着するとともに、総頚動脈および外頚静脈にカテ-テルを留置した。2日後、エンドトキシン(以下Ex,E.Col,0127:B8,Difco者)0.1Mg/kgを静注し、30分、2時間、24時間後の(1)血中白血球数、(2)白血球粘着の程度、(3)細静脈の血流速度、(4)細脈脈の血管径を観察した。 <結果>(1)流血中の白血球数はEx投与30分後には投与前の1/3に有意に減少し、24時間後にほぼ投与前値に復した。(2)観察された白血球を、血管壁に粘着しないもの、粘着後移動したもの、固着したものにわけると、Ex投与前には各々67%、10%、23%であったが、30分後には22%、10%、68%、2時間後には22%、12%、66%、24時間後には42%、12%、46%と早期に粘着が起こり、長時間持続した。血管壁に粘着した白血球数は、30分後には投与前の7.8倍、2時間後には11倍、24時間後には6倍であった。(3)細静脈の血流速度は、Ex投与30分後には約50%低下する傾向がみられ、24時間後まで持続した。(4)細静脈血管径は30分後には30%の拡張がみられ24時間後まで、この傾向が続いた。 <考察>本研究はショックの不可逆化を引き起こす一つの要因として細胞間マトリックスの障害を想定し、その機序として白血球の関与を検討するものである。今回の研究結果より,低用量のエンドトキシンであっても早期より白血球の血管壁への粘着が促進され、これが比較的長時間持続することより、白血球に由来する細胞間マトリックスの障害はショックの早期より起こることが示唆された。
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