1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570877
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
徳中 莊平 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (60091576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村岡 廉晴 旭川医科大学, 医学部, 助手 (10160706)
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Keywords | 外尿道括約筋 / 雌家兎 / 加令変化 |
Research Abstract |
老人および中年以降の女性の尿失禁の原因として加令による外尿道括約筋(以下EUS)の筋線維比率の変化、すなわち速筋線維の減少にもとずくか否かを検討するのが本研究の目的であった。当初、雄および雌の老令家兎を購入する予定であったが、老令雄家兎の入手が極めて困難なことが判明した。このため出産を2〜3回経験した1才雌家兎を購入した。これら6頭から尿道を採取し、グリセリン化した後、2次元電気泳動用サンプルを調製して2次元電気泳動を行った。各サンプルの電気泳動ゲルは8枚ずつ作成した。Coomassie Brilliant Blue Rで染色した各ゲルからミオシン軽鎖2F(速筋型軽鎖)とミオシン軽鎖2S(遅筋型軽鎖)のスポットを切り出し、ピリジン溶液で染色剤を抽出し605nmにおける吸光度を測定し、速筋型ミオシン軽鎖2Fと遅筋型ミオシン軽鎖2Sの比率、すなわちEUS内の速筋型ミオシンと遅筋型ミオシンの比率をもとめた。多くの哺乳動物と同様に、雌家兎尿道は、その遠位部を膣と共有している。EUSは、この共有膣、いわゆるvestibulumを取り囲む部分とそれより近位の尿道と膣を一緒に外側から取囲む部分からなることが分かった。このためEUSの遠位部分(vestibulum part)と近位部分(urethro-vaginal part)とに分けて検討した。1才雌家兎のvestibulum partでは、速筋型ミオシン:遅筋型ミオシン=79.0±3.3:21.0±3.3。urethro-vaginal partでは、速筋型ミオシン:遅筋型ミオシン=48.6±2.3:51.4±2.3であった。EUS全体では、速筋型ミオシン:遅筋型ミオシン=74.7:25.3であった。一方、出産経験の無い6ヵ月雌家兎では、vestibulum partで、82.6±10.7:17.4±10.7、urethro-vaginal partで、54.0±14.9:46.0±14.9、全体では、73.0:27.0であった。従って、今回の検討では、出産、未出産家兎の間に違いは見られず、加令、出産による筋線維比率の変化は認めなかった。現在、雌家兎を2才をめざして飼育中であり、さらに加令の影響を検討する予定である。
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