1990 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト前立腺における増殖因子の発現と産生細胞の同定(分子生物学的手法を用いた解析)
Project/Area Number |
01570888
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大石 賢二 京都大学, 医学部, 講師 (10152042)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 陽一 京都大学, 医学部, 助手 (50193058)
吉田 修 京都大学, 医学部, 教授 (70025584)
|
Keywords | 前立腺 / 増殖因子(成長因子) / 前立腺肥大症 / ノザン法 / 分子生物学 |
Research Abstract |
前年度に我々は、ヒト前立腺肥大症においては、前立腺局所において産生される特定の増殖因子がその発生に関与している可能性を示唆する結果を得た。すなわち、前立腺肥大症においては正常前立腺に比較して、basic fibroblast growth factor(FGF)およびtransforming growth factor type β2の発現がRNAレベルで有意に上昇していた。 この結果をふまえて、蛋白レベルでの発現を比較検討しようと試みた。ウェスタン法を用いて行ったが、この解析は成功しなかった。 次に増殖因子の前立腺における産生細胞の同定を試みた。主にbasic FGFについて行った。抗体を用いた免疫組織化学(ABC法)では、ポリクロ-ナル抗体を用いた場合にはbasal cellと思われる細胞に陽性所見を得た。モノクロ-ナル抗体では陽性所見は得られなかった。用いたポリクロ-ナル抗体はbasic FGFとacidic FGFの両者を認識するものであったが、acidic FGFでは吸収がかからなかった。Inーsitu hybridizationは成功しなかった。 近年、肥大症を含むヒト前立腺の増殖には、増殖因子が深く関わっていると考えられている。本年度の我々の研究では、basic FGFの局在及び機能を考えるうえで興味深い結果が得られた。すなわち、basal cellがbasic FGFを産生していることを示唆する結果が得られたことである。このことは、ヒト前立腺の増殖における増殖因子の働きを考えるうえで重要であるだけでなく、未だ解明されていないbasal cellの機能を考えるうえでも意義深いことと思われる。
|