1989 Fiscal Year Annual Research Report
更年期男子の性機能が受ける,プロラクチンからの影響とその治療の試み
Project/Area Number |
01570893
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
大迫 文麿 島根医科大学, 医学部, 助教授 (00093203)
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Keywords | 更年期男子 / プロラクチン / 性機能 / ブロモクリプチン |
Research Abstract |
この研究の目的は,更年期男子の性機能低下に対しての、薬物療法による改善の試みである。過去10年以上に亘る男子高プロラクチン(P)血症の研究に基いて、私は更年期男子(45-60才未満)の性機能低下の一つの原因が高P血症にあると仮定した。何故なら、高P血症の頻度が加令と共に上昇し、その高P血症が性機能を抑制するからである。若しこの仮定が正しいなら、更年期男子の性機能低下は高P血症を是正する薬物、ブロモクリプチン(Brc)で改善されることになる。実験方法は、20才代から60才代の健常男子100人集め各人から早朝空腹30分間安静后に1回だけ採血した。同時に全ての参加者から性機能に対するアンケ-トを取った。男子更年期世代52人のうち4人に明らかな高P血症が発見された。これら4人に対して、2ケ月間に亘ってBrc5mg/日を経口投与して血中のP濃度を正常化し、これに伴う諸ホルモンの代謝の変化やアンケ-ト調査による性機能の改善状態や夜間膨起度の変化などを観察した。その結果は、高P血症を示した4人のうち1人だけにBrc投与中に体の調子がよくなって仕事がし易くなり、薬物投与前には夜間自然膨起しなかったものが、投与后は自然膨起が起るようになった。私のこの実験結果から52人の更年期男子のうち1人(1.9%)がBrcによって性機能のみならず一般生活も改善されたことが判明した。このことは、日本全国に約1千万人の更年期男子が居ることから単純に計算してみても約20万人(1千万人の1.9%)の性機能や一般生活の改善がBrcによってもたらされることを示唆しているようである。結論としては、この研究を通じて高P血症が更年期男子の間脳-下垂体-性腺系に及ぼす影響について明確にはならなかった。しかし、52人中1人の高P血症更年期男子例にBrc治療が奏効したことは、臨床家であるわれわれにとっては無視出来ない結果と考える。
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