1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570894
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
津島 知靖 岡山大学, 医学部・附属病院, 講師 (20135990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明比 直樹 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00222555)
小橋 賢二 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (80225482)
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Keywords | ヒト膀胱癌培養細胞株 / CDDP耐性 / 膀胱癌 / 化学療法 |
Research Abstract |
Cisーdiamminedichloroplatinum(CDDP)は膀胱癌に対して最も有効な薬剤の1つである。また,CDDPを含む多剤併用療法としてMーVAC(methotrexate+vinblastine+adriamycin+CDDP)療法が有効であり,その有効率は50〜70%と報告されている。MーVAC療法無効例あるいは再然例に対しては効果的な治療法が無いのが現状である。そこで,CDDP耐性細胞を作成して,これを用いた制癌剤のスクリ-ニングを行い,最終的にはヌ-ドマウスを用いて有効な非交差耐性化学療法のモデルを確立することを目標として,研究を開始した。 まず,ヒト膀胱癌培養細胞株T24をクロ-ニングして得られたCLー7に対してCDDPを持続接触させることにより0.25μg/mlの濃度で増殖する耐性株CLー7/CDDPを樹立した。このCLー7/CDDPは親株と比較して2.7倍の耐性を示した。この耐性機序を解明するため細胞内CDDP量,メタロチオネイン量,グルタチオン量,GST活性を検討した。これらの検討結果より,CDDP耐性は細胞内不活化によるものと結論された。さらに,CLー7/CDDPを用いて各種制癌剤の殺細胞効果をコロニ-形成法にて検討した。この結果,各薬剤の耐性度はCDDPと同等の薬剤(CDDP誘導体,MMC,VPー16),耐性を示さない薬剤(ADM,CTX,IFO,VLB),殺細胞効果が増強した薬剤(5ーFU,MTX)の3群に分類可能であった。また,CDDP誘導体の耐性度はDWA2114R>CBDCA>NKー121>254ーSの順に高かった。この結果から,奏効率のさらに高いレジメンとして,CDDPに対する耐性度の異なる3群の薬剤の組み合わせ,あるいは耐性度の低いCDDP誘導体を用いた非交差耐性化学療法の可能性が示唆された。 現在,CLー7/CDDP細胞をヌ-ドマウスに移植して,in vivoの系の作成を試みている。次年度はこの系の作成およびこの系を用いた抗腫瘍効果の検討を行う予定である。
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