1990 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌の実験モデル、特に転移モデルの確立と腎細胞癌における転移機序に関する研究
Project/Area Number |
01570897
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
塚本 泰司 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (50112454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅原 次男 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90160324)
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Keywords | 腎細胞癌 / 高転移株 / in vitro invasion assay / 成長因子 / collagenase type IV |
Research Abstract |
腎細胞癌における転移機序の解明を目的にマウス腎腺癌の高転移株樹立、腎細胞癌のin vitro invasive potentialと成長因子による影響の機序を検討した。 1.マウス賢腺癌の高転移株の樹立 Streptozotocinにより発癌させたマウス腎腺癌を可継代株化させ、これを同系マウスの脾臓内あるいは静脈内に投与し、それぞれ肝転移株、肺転移株を得た。この操作を繰り返して得られた肝転移株(STZーHM1,2,3)は、肝転移の選択を繰り返すごとに肝転移および肝転移巣の増加が認められ、parent lineであるSTZーRCCでは69%の肝転移率であったのに対し、STZーHMl: 90%,ーHM2: 100%,ーHM3: 100%であった。また転移巣が100個以上の割合も、STZーRCCでは6%であったがSTZーHM1,2,3それぞれ50%、40%、100%と著明な増加が認められた。肺転移株も同様の傾向が得られた。これらの高転移株のin vitro invasion assayを行うと、そのinvasivenessはSTZーHM3>ーHM2>ーHM1>STZーRCCと肺転移率、転移巣の数が著明な株程強い結果であった。この結果から、これらの転移株は転移の機序を検討する上で有用なモデルになると思われた。 2.ヒト腎細胞癌のin vitro invasion assay ヒト腎細胞癌株(SMKTーRー1,2,3,4)のin vitro invasivenessに対するEGF,TGFーβ_1の影響を検討すると、EGFはinvasivenessを促進させ、TGFーβ_1はことを阻止する作用を示した。EGFの作用は腎細胞癌株が有しているEGFーreceptor量とは直接の関係はなかった。TGFーβ_1の阻止作用は、TGFーβ_1添加によりcollagenase type IV の分泌が抑制される傾向があったことにより、癌細胞におけるTGFーβ_1とcollagenase type IVの分泌調節との関係が示唆された。
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[Publications] 小谷 典之、塚本 泰司ほか: "ヒト腎細胞癌のin vitroの浸潤能と成長因子(EGF,TFGーβ_1)の影響" 日本泌尿器科学会誌. 82. (1991)
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[Publications] 舛森 直哉、熊本 悦明、塚本 泰司ほか: "腎細胞癌における肺転移の検討ー肺血流シンチグラムによる肺塞栓病変と肺転移" 日本泌尿器科学会誌. 82. (1991)
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[Publications] 宮尾 則臣、熊本 悦明、塚本 泰司: "Streptozotocinによるマウス腎化学発癌過程の病理組織学的検討" 日本泌尿器科学会誌投稿中.
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[Publications] Tsukamoto,T.,et al.: "Regional lymph node metastasis in renal cell carcinoma: In cidence,distribution and its relation to other pathological findings." European Urology. 18. 88-93 (1990)
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[Publications] Tsukamoto,T.,et al.: "Clinical analysis of incidentally found renal cell carcinomas" European Urology. 19. 109-113 (1991)