1989 Fiscal Year Annual Research Report
先天性肺低形成の生化学的、形態学的特徴とその要因に関する研究
Project/Area Number |
01570913
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
樋口 誠一 秋田大学, 医学部, 助教授 (20006779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤嶋 真人 秋田大学, 医学部, 講師 (10153967)
斉藤 昌弘 秋田大学, 医学部, 助手 (70162229)
吉野 裕顕 秋田大学, 医学部, 助手 (90182807)
平野 秀人 秋田大学, 医学部, 助手 (80156687)
加藤 哲夫 秋田大学, 医学部, 助教授 (20004963)
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Keywords | pulmonary hypoplasia / Oligohydramnios / congenital diaphyragmatic hernia |
Research Abstract |
実験的羊水過少症作成による胎仔肺の発育ならびに生化学的、形態学的発達におよぼす影響について検討した。妊娠23日目の家兎を開腹し、子宮壁と卵膜を一部切開後、羊膜膣にペンロ-ズドレ-ン(約3cm)を設置し、羊水を母体腹膣内に漏出させた。このシャント術を施行しした胎仔を手術群とし、同腹の非手術胎仔を対照群とした。妊娠29日目に経腹的に胎仔を取り出し、羊水量と胎仔重量を測定後、胎仔肺、脳および肝臓を摘出した。なお、使用した妊娠家兎は計8羽、手術群および対照群の胎仔数は各々17、22匹であった。各臓器について総リン資質、総レシチン、L/S化およびdisaturated phosphatidyholine(DSPC、肺surfactantの主成分)を測定した。以下、括弧内の数字はmean±S.Eを表す。手術群では対照群に比較して、羊水量の著名な減少が認めらた(11±6vs1010±84μl)。胎仔体重、脳、肝重量は量群間に差はなかったが、手術群は対照群に比し、肺湿重量(0.6±0.04vs0.8±0.04g、P<0.01)肺湿重量(g)/体重(g)比×1000(240±1.0vs30.0±1.0、P<0.000)および肺1個あたりの蛋白量(29.1±1.7vs36.1±2.0mg、P<0.02)ともに有意な低下を認めた。また、手術群と対照群の肺組織における総レシチン(88.6±7.1vs66.8±2.9μg/mg protein、P<0.01)、DSPC濃度(40.0±3.3vs30.9±2.4μg/mg protein、P<0.005)およびL/S比(5.1±0.3vs4.2±0.2、P<0.002)は全て手術群において有意な増加を認めた。しかし、脳、肝においては両群間に差は認められなかった。 以上の結果から、羊水過少症は特異的に肺の組織の重量の低下、肺の低形成を招くが、個々の肺胞の生化学的成熟はむしろ促進される結果を得た。
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