1990 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣機能におけるゴナドトロピン放出因子(LHーRH)の役割
Project/Area Number |
01570923
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
今井 篤志 岐阜大学, 医学部・附属病院, 助手 (40193643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉舎 輝彦 岐阜大学, 医学部, 教授 (70079870)
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Keywords | 卵巣 / 顆粒膜細胞 / ゴナドトロピン / ゴナドトロピン放出因子 / カルシウムイオン / セカンドメッセンジャ- / イノシト-ルリン脂質 / イノシト-ル三リン酸 |
Research Abstract |
性ステロイド産生をはじめとする卵巣機能はゴナドトロピンによって調節されている。そのゴナドトロピンの下垂体からの分泌を促進するゴナドトロピン放出因子(LHーRH)が直接卵巣に作用をおよぼすことが見出されている。本研究はLHーRHの卵巣に対する生理作用および作用機序の解明を目的とし、本年度の研究により以下の事項が明らかにされた。 (1)ゴナドトロピンは顆粒膜細胞のアロマタ-ゼ(エストロゲン産生酵素)活性を二相性に亢進する。LHーRHはそのうち第二相を抑制した。 (2)LHーRHで顆粒膜細胞を刺激すると、イノシト-ルリン脂質の代謝が亢進し、Cーキナ-ゼが活性化された。 (3)Cーキナ-ゼの賦活剤で、LHーRHの抗ゴナドトロピン作用が模倣できることから、LHーRHはCーキナ-ゼを介して作用を発揮することが示唆された。 (4)LHーRH添加後1時間に、アンタイドを用いてLHーRHの受容体を不活化すると、イノシト-ルリン脂質の中断が生じるが、抗ゴナドトロピン作用は中和されなかった。つまり、LHーRHの受容体は初期の一定時間占有されると、もはやLHーRHの存在なしに、LHーRHの作用は継続する。このことは、半減期の極めて短いLHーRHの生理作用を考える上で、極めて有用な知見である。 (5)ゴナドトロピンは顆粒膜細胞内のcAMPの濃度を上昇させ、作用を発揮する。フォルスコリン、コレラトキシン、cAMP誘導体を用いた場合には、LHーRHは拮抗作用を示さなかった。すなはち、LHーRHの作用部位はゴナドトロピン受容体と連携したGTPー結合タンパクであることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 今井 篤志・玉舎 輝彦: "ゴナドトロピン放出因子(GnーRH)と卵巣機能" 産科と婦人科. 57. 1739-1744 (1990)
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[Publications] 玉舎 輝彦・今井 篤志: "卵巣機能にはたすリン脂質代謝の役割と病態" 蛋白質・核酸・酵素. 36. 258-262 (1991)
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[Publications] Imai,A.et al: "Direct action of gonadotropinーreleasing hormone(LHーRH)analogue on ovary:An alternative acting mechanism of buserelin." Arch.Obstet.Gynecol.
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[Publications] Iida,K.et al: "Stimulatory effects of estrogen on gonadotropinーreleasing hormoneーinduced phosphoinositide turnover in granulosa cells" J.Steroid Biochem.Mol.Biol.
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[Publications] Iida,K.et al: "Gonadotropinーreleasing hormone has a biphasic action on aromatase activity through protein kinase C in granulosa cells" Int.J.Fertil.
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[Publications] Imai,A.et al: "Inhibitory action of gonadotropinーreleasing hormone(GnーRH)on ovarian aromatase activity is mediated by protein kinase C." Clin.Physiol.Biochem.