1990 Fiscal Year Annual Research Report
蝸牛リンパ液の化学組成分析とその臨床的応用について
Project/Area Number |
01570955
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Research Institution | Miyazaki Medical College |
Principal Investigator |
森満 保 宮崎医科大学, 医学部, 教授 (40038675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
春田 厚 宮崎医科大学, 医学部, 助手 (90201722)
中野 隆之 鹿児島純心女子短期大学, 助教授 (30155783)
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Keywords | HPLC / Perilymph / Amino Acid Analysis / Cochlear Duct / Inner Ear |
Research Abstract |
モルモットでは閉塞していないといわれている蝸牛小管を実験的に閉塞を行ない,蝸牛外リンパ液中の遊離アミノ酸の動態および血漿ならびに髄液中の含量について比較、検討を行った。 実験にはプライエル反射良好なモルモット(体重250〜350g)を使用した。ネンブタ-ル麻酔後、気管切開を行い、人工呼吸器に接続後サクシンにて筋弛緩を行った。lateral approachにて中耳骨胞を開放後、正円窓経由にてガラス細管を刺入しておよそ3μlの外リンパ液を採取した。次に、後頭蓋窩経由にて硬膜を開放し、髄液を3μl採取し、また、一側の蝸牛小管を骨蝋にて閉塞した後、同側の蝸牛からも外リンパを採取した。最後に、頚静脈より血液を採取し、8000rpm,5minで遠沈を行い血漿を得た。次にこれらのサンプル液に5倍量のエタノ-ルを加え除タンパクを行った後、凍結乾燥保存した。分析時にPTC試薬を加え、PTCーアミノ酸の誘導体を作り、Waters社製HPLC(PICO TAG column法)を用いて、遊離アミノ酸の種類および含量の測定を行った。 今回は、Pheの分離が悪かったため、それ以外の16種類のアミノ酸について検討を行った結果、normalな蝸牛外リンパではGly含量が最も多く、次にAla,Serが多かった。逆に少ないものはCys,Asp,Gluなどであった。髄液ではGluが同様に含量が多く、次に、Ser,Lysの含量が多かったが、Alaについてはそれほど高値を示さなかった。アミノ酸全体からみると両者は種類、濃度とも類似していた。これらに対して、血漿ではLeu,Val,Ala含量が多く、外リンパ液で高値を示したGlyは逆に低値を示した。次に、normal側と蝸牛小管閉塞側の外リンパ液で比較するとほとんどのアミノ酸で閉塞側の方が高値を示し、髄液<normal側<閉塞側の順となった。しかし、Gluについては髄液=閉塞側<normal側となった。今後、例数を増やし、詳細な検討を行う必要があるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)