1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01570963
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
舩坂 宗太郎 東京医科大学, 医学部, 教授 (70009968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 真郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (30175202)
本田 清志 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (10114638)
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Keywords | 人工内耳 / 語音聴取能 / 情報伝達量 / ホルマント / 感音難聴 |
Research Abstract |
19名の人工内耳装用患者について、日本語5母音の聴取検査を行い、100%の正答率に達しなかった6名について異聴表を作製した。その結果ウ→オが18%、エ→イが13%の異聴を示し、第2ホルマントを正しく分析して送りこむ必要があることが明らかとなった。 次にパ、タ、カ,バ、ダ、ガ、ナ、マ、ハ、ラ、ヤ、サ、ザ、ワの14子音について聴取検査を行い、異聴表を作製し、有声、無声、鼻音、摩擦音、半母音という構音様式分類別に情報伝達量を計算した。その結果、有声、無声で61%、鼻声で40%、摩擦音で47%、半母音で56%という情報伝達量であることが判明した。同様の検査を中等徳の蝸牛障害による感音難聴患者の49耳について行い、これにおいては有声、無声で94%、鼻音で46%、摩擦音で69%、半母音で38%という結果を得た。すなわち、人工内耳患者は中等度感音難聴患者の最高明瞭度にくらべ、有声、無声と摩擦音で約6〜7割、鼻音で約9割、半母音で約1.5倍の情報伝達量を有するものであると結論される。そして両者の比較から、人工内耳が蝸牛の中高音部しか刺激しないことと語声の子音部・移行部という急激な変化分の伝送にやや劣ることが、この差を生じたものと推論された。 したがって今後の改良として、さらに電極尖端部を細くして蝸牛内への挿入深度を深くすること、チャンネル数を増やすこと、そして話声の過度部分の分析を精密にし伝送することが大切であると結論された。なお文の聴取検査から、視覚を併用すれば現状でも一対一、ないしは一対数名の会話は可能であること、5名は聴取能がきわめて良く電話も可能であることが示された。
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[Publications] 舩坂宗太郎他: "22チャンネル人工内耳患者の子音、半母音情報伝達量に関する研究" Audiology Japan. 32. 146-151 (1989)
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[Publications] 舩坂宗太郎他: "人工内耳患者における単音節、単語、文の認識能-聴覚入力と視覚入力との相互関係における一考察-" Audiolody Japan. 32. 195-199 (1989)
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[Publications] 舩坂宗太郎: "人工内耳による聞こえの回復" 綜合臨床. 38. 2963-2967 (1989)
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[Publications] 舩坂宗太郎: "人工内耳患者の言話音聴取能に関する研究" 電子情報通信学会音声研究会資料. 89. (1990)
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[Publications] Sotaro Funasaka C.L.Christman.E.N.Albert編: "Cochlear Implants:A madel for the regulation of emerging medical technologies" MTP Press Ltd,