1989 Fiscal Year Annual Research Report
脳回転状脈絡網膜萎縮症の病態と治療に関する分子生物学的、生化学的研究
Project/Area Number |
01570968
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩野 貴 東北大学, 医学部, 助教授 (20133978)
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Keywords | 脳回転状脈絡網膜萎縮症 / オルニチン・アミノトランスフェラ-ゼ / オルニチン代謝 |
Research Abstract |
先ず脳回転状脈絡網膜萎縮症患者から、線維芽細胞を培養し、その細胞糸を維持して、のちの遺伝子の分析等に使用できるようにした。次にこれらの患者達の線維芽細胞を用い、本疾患の欠損酵素であるオルニチン・アミノトランスフェラ-ゼ(OAT)に対し、分子生物学的手法によりその分析を試みた。まずサザン・ブロットによるDNA,ノ-ザンブロットによるRNAの分析では、ほとんどの例で、正常ヒトとの比較において差が認められず、点異常などの微細な遺伝子の異常によるものではないかと思われた。しかし一例において構造遺伝子の比較的大きな部分欠損が認められ、遺伝子レベルでの本疾患の多様性を示すことができた。 次に免疫組織学的手法を用いて欠損酵素であるOATの正常眼における局在を検討した。抗体はヒトOATを精製し、ウサギを用いて作製した。これを用いてABC法を行った。その結果、ヒト眼内におけるOATの局在は、網膜では神経節細胞、一部のアマクリン細胞に反応が認められ、他に水晶体上皮細胞、毛様体無色素上皮細胞に反応が認められた。色素のある脈絡膜、網膜色素上皮細胞、毛様体色素上皮細胞、虹彩では、色素のため判別困難であった。以上の結果は一部ラットを用いた結果と異なっており、ヒト眼における研究の重要性と、これら眼組織におけるOATの重要性が示された。 OATを介してのオルニチン代謝の重要性を調べる目的で、グルタミン酸、プロリンに対する抗体を作製中である。
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[Publications] Shiono,T.et al: "Immunocytochemical localization of omithiue aminotransferase in Human ocular tissues" Invest Ophfhalmol Uis Sci. 30. 308 (1989)
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[Publications] Mito,T.et al: "Immunocytochemical localization of omithiue aminotransferase in Humdn ocular tissues" Arch Ophthalmol. 107. 1372-1374 (1989)
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[Publications] Inano,G.et al: "Expression defect of ornithine aminotransblrase gene in gyrate atrophy" Invest Ophthalmol Vis Sci. 29. 1001-1005 (1988)