網膜におけるヒスタミンとヒスタミン受容体の分布およびヒスタミンの網膜におよぼす影響

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 01570986
• Research Institution: University of Occupational and Environmental Health, Japan
• Principal Investigator: 古川 博 産業医科大学, 医学部, 助手 (80131936)
• Keywords: 網膜 / ヒスタミン / 免疫組織化学 / ラット / 家兎 / 光学顕微鏡 / 電子顕微鏡

Research Abstract

ヒスタミン生体各部に存在し、色々な役割を持っていることが知られている。網膜でも、ヒスタミンの存在とヒスチジンディカルボシキラ-ゼの活性が報告されている。他組織におけるヒスタミンの役割の重要性から考えて、ヒスタミンは網膜でも重要な役割を担っていると考えられる。本研究において、今年度は網膜におけるヒスタミンの分布と局在を調べるために、光顕および電顕免疫組織化学法をラットおよび家兎網膜についておこなった(ただし電顕免疫組織化学法はラットのみについておこなった)。光顕免疫組織化学法の方法と結果は次の通りである。ラットおよび家兎網膜を凍結乾燥、DECP蒸気固定後パラフィン包埋をし薄切した。脱パラフィン後、抗ヒスタミン抗血清(ポリクロナ-ル抗体)を用いPAP法で染色した。その結果、外顆粒層と網膜血管壁のみに免疫反応を認めた。前記の光顕免疫組織化学の結果をふまえ、特に外網上層での免疫反応を観察するために、ラット網膜についてPAP法による電顕免疫組織化学法を行った。その結果、視細胞の細胞体、視細胞軸索および終末に免疫反応がみられた、また網膜血管内皮細胞にもヒスタミンの免疫反応がみられた。上記以外の部位には免疫反応が認められなかった。視細胞終末部では細胞質だけでなくシナプス前膜にも強い反応がみられた。シナプスリボンの周囲には反応がなかった。以上平成元年度の研究計画の主目的はほぼ達成された。視細胞終末部に免疫反応が認められたことについては、ヒスタミン受容体の問題も含めて、今後の検討が必要である。また実験的糖尿病性網膜症では、網膜のヒスチジンディカルボシキラ-ゼの活性が高くなることがCarollらによって報告されているので、網膜のヒスタミンに関してはこの点からも検討が必要である。

Research Products

• [Publications] Hiroshi Furukawa,Shinobu Akiya: "The localization of histamineーlke material in the rat retina"
• [Publications] 古川博,秋谷忍: "ラットおよび家兎網膜におけるヒスタミン様物質の分布(仮題)"