1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 歯学部, 助教授 (60028793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 龍二 大阪大学, 歯学部, 講師 (30157268)
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Keywords | 大脳皮質 / 味覚 / 神経ペプチド / 味覚嫌悪学習 / Cーfos蛋白質 |
Research Abstract |
1.大脳皮質味覚野にCGRP含有線維を送る細胞体の存在部位。 カルチトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)含有線維は,ラット大脳皮質味覚野に密に存在する.細胞構築学的に皮質味覚野は,背側から腹側に向って,顆粒性島皮質,不全顆粒性島皮質,無顆粒性島皮質に分けられるが,CGRP含有神経は,無顆粒性島古質と不全顆粒性島皮質の腹側半分に局在化していた。従って 逆行性トレ-サ-としてFITCーHRP腹側味覚野に微量注入し,脳切片作製後,免疫組織化学的にCGRP含有ニュ-ロンを同定し,トレ-サ-との二重標識細胞を検索したところ,視床後腹側内側核(視床味覚野)内の最内側部から,同核のさらに内側部の視床中心内側核に二重標識細胞を認めた.また,視腹味覚野のイボテン酸注入による微小破壊により大脳皮質味覚野のCGRP線維が消失することからも,皮質味覚野にCGRP線維を送るのは、視床味覚野とくにその内側部の細胞であることが分った. 2.味覚嫌悪学習における大脳皮質味覚野の役割り。 サッカリンを経験させたラットでも,皮質味覚野の破壊により,新奇性恐怖は再現し,嫌悪学習獲得も可能であった.皮質味覚野を前もって破壊しておいても嫌悪学習獲得は可能であったが,学習獲得後の皮質破壊により条件づけ効果はすみやかに消失した.以上のことから,皮質味覚野は.過去に経験した味か初めての味かの判定に,また,嫌悪学習獲得時には条件制激の味の記憶に重要な働きを演じる。 3.味覚嫌悪学習によるCーfos蛋白質の出現 以上のように,大脳皮質味覚野は味覚嫌悪学習に重要であることが分ったので,このとき,プロトオンコジ-ンであるCーfosにより蛋白質産生を免疫組織化学的に検索したところ,嫌悪条件獲得後,皮質味覚野ニュ-ロンで著明に認められた。この詳細な働きは今後の課題である。
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[Publications] T.Yamamoto: "Aversive taste stimuli increase CGRP levels in the gustatory insular cortex of rat" Neuroscience Letters. 112. 167-172 (1990)
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[Publications] 藤本 義之: "味覚行動における大脳皮質味覚野の役割" 歯科基礎医学会雑誌. 32,Suppl. 194 (1990)