1989 Fiscal Year Annual Research Report
神経成長因子の褐色細胞腫PC12細胞分化作用に対する細胞外ATPの影響
Project/Area Number |
01571027
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山田 正三 明海大学, 歯学部, 教授 (30049358)
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Keywords | 細胞外ATP / 褐色細胞腫細胞PC12 / 神経成長因子 / 細胞内カルシウム / P_2プリナ-ジックリセプタ- / カルシウムチャンネル / 神経突起形成 / 神経細胞分化 |
Research Abstract |
細胞外ATPの褐色細胞腫PC12細胞、およびPC12細胞への神経成長因子(NGF)の細胞分化作用に対してどのような影響を与えるかについてPC12細胞のサブクロ-ンであるPC12h細胞を用いて検討し、以下のような結果を得た。 1)PC12細胞の増殖に対して:ATPの培養液への添加はディシュ当りのタンパク質量およびDNA量をともに対照のディシュよりも減少させることから、細胞外ATPはPC12h細胞の増殖を抑制する作用がある。 2)細胞内Ca^<2+>イオンに対して:ATPはPC12h細胞の細胞内Ca^<2+>濃度を増加させた。細胞外液へのEGTAの添加によってこのCa^<2+>の増加が50〜80%阻害されることから、ATPによる細胞内Ca^<2+>の増加は主にCa^<2+>のinfluxによるものである。細胞内Ca^<2+>に対するアデニンヌクレオチドの効果を比較した結果、細胞外ATPの作用はP_2-type purinergic receptorを介していると考えられる。 3)細胞核内タンパク質のリン酸化に対して:NGFによってリン酸化が促進されることが知られている核内のタンパク質、SMPのリン酸化は、PC12細胞をATP単独で処理した場合にも促進されることがわかった。この効果はADPでも観察されたがAMPではほとんど検出されなかった。これらの結果はATPのSMPリン酸化促進効果もP_2 purinergic receptorを介していることを示唆している。またATPの効果とNGFの効果はSMPリン酸化促進に関して相加的であるようにみえるが、この点についてさらに検討が必要である。 4)神経突起形成に対して:ATPは単独では神経突起を誘導しないが、NGFによる突起形成を促進した。
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[Publications] Nobuo NAKANISHI: "Effect of actinomycin D and cycloheximide on the nerve growth factor(NGF)-induced increase in BP level of pheochromocytoma PC12h cells." Pteridiens. 2. (1990)
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[Publications] Nobuo NAKANISHI: "GTP cyclohydrolase of pheochromocytoma PC12h cells:Effect of nerve growth factor(NGF)treatment of the cells." Pteridiens. 2. (1990)
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[Publications] 中川幹也: "Teratoma 402AX 細胞のNADH特異性ジヒドロプテリジン還元酵素に対するretinoic acid,dibutyryl cyclic AMP、および神経成長因子の影響" 明海大学歯学雑誌. 19. (1990)
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[Publications] Kaoruko AONO: "Extracellular ATP increases cytosolic calcium ion level and enhances nerve growth factor-induced neurite outgrowth from PC12h pheohromocytoma cells."
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[Publications] Nobuo NAKANISHI: "“Enzymes in glycolytic pathway"in Dynamic Aspects of Dental Pulp(Inoki,R.,Kudo,T.,& Olgart,L.,eds.)pp.203-220" Chapman and Hall ltd., (1990)