1989 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺の漿液性および粘液性細胞における生化学的・薬理学的特性に関する研究
Project/Area Number |
01571032
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
岩渕 良志喜 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (80095067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川名 千尋 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助手 (40167789)
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Keywords | 唾液腺 / ラット / 漿液性細胞 / 粘液性細胞 / 唾液 / 糖蛋白分子種 / 唾液分泌刺激薬 |
Research Abstract |
微量の生体試料の分離が可能である4-40% SDS polyacrylamide micro disc gel電気泳動系における酸性糖蛋白の検出法を確立し、ラット舌下腺の腺房細胞と刺激分泌唾液の中性および酸性糖蛋白分子種について検索した。結果:1.シアル酸を多量に含むhuman α_1-acid glycoproteinの電気泳動後、2-propranolでgelからSDSを除去し、0.5% Alcian blue(A.B.)で染色すると1本のBlue BandがPASおよびCoomassie blue(C.B.)Bandと同じ位置に出現した。ゲルにアプライしたα_1-acid glycoproteinの量とdensitometric areaの相関係数は、0.96であった。2.正常成熟雄性ラットの舌下腺をcollagenaseで消化しmicridissectionにより分取した腺房試料の泳動像では、高分子領域の蛋白はA.B.とPASの双方に陽性であり、低分子領域の蛋白はPASに陽性、A.B.に陰性であった。3.(1)舌下腺からの唾液分泌は、アドレナリン性のαおよびβ作動薬の投与でみられず、carbachol(CR)およびsubstance P(SP)の投与でみられた。これらの唾液では、ゲルにアプライする最適蛋白量は、A.B.とC.B.染色の場合で0.125μg、PAS染色の場合で0.25μgであった。CRとSPによる刺激分泌唾液のC.B.、A.B.およびPAS泳動像は類似し、Band数はC.B.染色で15-16本、A.B.染色で12-13本、PAS染色で14-15本であった。また、C.B.で染色性の強い18KDaと26KDaの双方の蛋白はPASに陽性、A.B.に陰性であり、次に染色性の強い155KDaの蛋白はA.B.とPASの双方に陽性であった。(2)舌下腺の腺房からの中性と酸性糖蛋白の分泌に対する能力と持続力は、SPよりもCRで大であった。また、CR投与による唾液分泌はatropineの前投与で、SP投与による分泌はatropineとspantideの前投与で強い抑制効果を示した。 以上の成績より、ラット舌下腺の粘液性腺房細胞に含まれている中性および酸性の糖蛋白の分泌は、ムスカリン受容体とSP受容体の双方が関与することが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)