1990 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺の漿液性および粘液性細胞における生化学的・薬理学的特性に関する研究
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01571032
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
岩渕 良志喜 日本歯科大学, 新潟歯学部, 助教授 (80095067)
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Keywords | 唾液腺 / ラット / 漿液性細胞 / 粘液性細胞 / 唾液 / 糖蛋白分子種 / 唾液分泌刺激薬 |
Research Abstract |
ラット舌下腺の粘液性腺房細胞と漿液性半月細胞の糖蛋白分泌に関与するサブスタンスP(SP)受容体とムスカリン受容体のサブタイプについて,各受容体に高親和性の作動薬と遮断薬を用いて検討した。 1.サブスタンスP:(1)SP(1ー20μg/kg)の1回静脈注射による舌下腺の唾液分泌速度は,いずれの用量とも1分が最高で以後急減し,4ー9分で分泌が停止した。また,唾液分泌に対するED_<50>値は6.8μg/kgであった。(2)SP(10μg/kg)による舌下腺からの唾液分泌は,AFーDXー116,phentolamine,propranolol,hexamethonium,baclofen,mepyramineで変わらず,atropine,pirenzepine,4ーDAMP,spantideの前投与または併用投与で抑制された。(3)SP単独およびSPとatropine併用投与により分泌された舌下腺唾液の糖蛋白泳動像は,いずれもC.B.で弱く,PASとalcian blueで強く染色する高分子量の酸性糖蛋白(ムチン)と,C.B.で著しく強く,PASで弱く,alcian blueで染色されない26KDaと18.5KDaの中性糖蛋白が観察された。 2.副交感神経作動薬:(1)pilocarpine(PIL;0.1ー2mg/kg)およびcarbachol(CAR;3ー100μg/kg)の1回腹腔内注射による舌下腺の唾液分泌量は,用量依存性の増大を示した。(2)PIL(0.5mg/kg)およびCAR(30μg/kg)による舌下腺からの唾液分泌の抑制に対する遮断薬の効果は,いずれもatropine〉4ーDAMP》pirenzepineの順であった。また,hexamethoniumおよびAFーDXー116の前投与は,CARによる唾液分泌に影響しないが,PILによる唾液分泌を有意に抑制した。(3)PILおよびCAR投与により分泌された舌下腺唾液の糖蛋白泳動像は,SPー刺激分泌でみられた酸性糖蛋白(ムチン)と2種の中性糖蛋白が観察された。 以上の成績より,ラットの舌下腺は,SPおよびムスカリン受容体の刺激で粘液性腺房細胞から酸性糖蛋白を,漿液性半月細胞から中性糖蛋白を分泌するが,これらに関与する主なサブタイプは,SP受容体はNK_1で,ムスカリン受容体はM_3であることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Chihiro AOKIーKAWANA: "Detection of the acid glycoproteins of saliva on SDSーpolyacrylamide microーdisk gels" Japanese Journal of Oral Biology. 32. 198-202 (1990)
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[Publications] 稲熊 孝弘: "ラット舌下腺の唾液と糖蛋白の分泌に対するSubstance Pの作用" 歯学. 79. (1991)