1989 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺のプロテインキナ-ゼCを活性化するジアシルグリセロ-ルの起源と消長
Project/Area Number |
01571034
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
横田 豊 朝日大学, 歯学部, 教授 (40075990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
愼 順玉 朝日大学, 歯学部, 助手
水野 真子 朝日大学, 歯学部, 助手 (80181907)
八代 耕児 朝日大学, 歯学部, 講師 (50182316)
亀山 泰永 朝日大学, 歯学部, 助教授 (50161245)
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Keywords | ジアシルグリセロ-ル / 脂肪酸組成 / ホスホリパ-ゼC / リン脂質 / イソプロテレノ-ル / アミラ-ゼ分泌 / 分泌顆粒 / ラット唾液腺 |
Research Abstract |
ラット顎下腺細胞中のジアシルグリセロ-ル(DAG)の脂肪酸残基は、全体の約50%をパルミチン酸が占め、次いでステアリン酸(約20%)が多く存在し、飽和脂肪酸が主要脂肪酸であった。不飽和脂肪酸では、オレイン酸が比較的多く存在したほかは、微量成分として認められたのみであった。この組成は、DAGを生合成中間体とするリン脂質であるホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノ-ルアミン、あるいはDAGの前駆体の1つであるトリアシルグリセロ-ルの脂肪酸組成、さらには遊離脂肪酸組成、さらには遊離脂肪酸の組成とは異なっていた。DAGの起源の同定には、さらにグリセロ-ル骨格に対する結合位置を特定した脂肪酸組成の分析が必要であり、この点については次年度研究計画と関連して現在進行中である。 DAGの代謝動態の解明の一端として、耳下腺細胞を〔^<14>C〕リノ-ル酸標識し、交感性β-受容体作動薬イソプロテレノ-ルで刺激後、リン脂質,中性脂質の動的変化を観察したところ、〔^<14>C〕DAGの増加傾向とともに〔^<14>C〕1-、〔^<14>C〕2-アシルグリセロ-ル、および〔^<14>C〕トリアシルグリセロ-ルの減少傾向を認めた。一方、リン脂質には増減を認めなかった。これらの結果から、DAGの増加の要因としてDAG分解代謝系酵素の活性低下が示唆された。近年、一般にDAGの起源と増加機構にイノシト-ル関連脂質のホスホリパ-ゼCによる分解亢進が挙げられているが、これまでの標識実験ではDAG濃度が一義的に調節されているのではないことを伺わせている。 DAGの生理機能に関しては、従来報告されているプロテインキナ-ゼCの活性化のほか、唾液腺分泌顆粒からのアミラ-ゼ分泌を亢進させる機能に関与していることを明らかにしてきた。また、in vitroでのassayでは唾液腺細胞中でホスファチジルコリンからDAGを産生するホスホリンパ-ゼC活性が認められた。DAG代謝酵素系と唾液分泌機構との相関については、今後の課題としたい。
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[Publications] Koji Yashiro: "Comparison of phospholipid Ν-methylation activity in rat submandibular salivary gland and liver" Archives of Oral Biology. 34. 203-208 (1989)
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[Publications] Koji Yashiro: "Phospholipid metabolism in rat submandibular gland.Positional distribution of fatty acids in phosphatidylcholine and microsomal lysophospholipid acyltransferase systems concerning proliferation" Biochimica et Biophysica Acta. 1005. 56-64 (1989)
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[Publications] Masako Mizuno: "Biochemical and physical analysis of subcellular membranes in rat parotid gland enlarged by chronic isoproterenol administration" Comparative Biochemistry and Physiology.