1990 Fiscal Year Annual Research Report
破壊力学に基づく歯科用レジンセメントの辺縁封鎖特性の評価
Project/Area Number |
01571062
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (70108223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 秀昭 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (50014163)
永井 正洋 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (10013971)
宮入 裕夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (50013892)
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Keywords | レジンセメント / 接着強度 / 辺縁封鎖 / 破壊力学 |
Research Abstract |
本研究では歯科用レジンセメントの力学特性について,接着強度および辺縁封鎖性について破壊力学に基づいて検討することを目的としており,本年度は以下の結果を得た。 1.レジン単体に対する機械的劣化要因と環境劣化要因の複合効果について検討するためにアクリルレジンにて試験片を作製し,引張荷重を負荷しつつ水中に浸漬した。その結果、水中で引張負荷しない場合や大気中で引張負荷する場合には強度の劣化は生じないが,水中で引張荷重を負荷した試験片では経時的に強度が劣化した。 2.強度試験後の破断面の光顕および走査電顕観察においては,クレイジング,環境割れ,PMMA粒子とマトリックスの界面での破壊などは確認できず,経時的にマトリックスの劣化が進行していくようであった。このことより,応力と環境の複合劣化効果はレジンマトリックスの劣化の加速にあるものと推定された。 3.予き裂を持つ接着試験片を水中浸漬し引張荷重を負荷してき裂開口変位を測定した。被着材にはステンレス鋼,レジンセメントにはパナビアとス-パ-ボンドを用いた.後者においては経時的に開口変位の増大が観察され,経時的にき裂が進展して破壊に至るかマトリックスが延伸して破壊に至ることが分かった。一方,前者では開口変位の増大はわずかであり,一旦き裂が進展しはじめる瞬時に破断した。 4.強度試験後の破断面の観察においては,界面破壊と凝集破壊の両者が見られたがき裂の進展状況については明瞭な痕跡は観察できなかった。いずれにしても,劣化は界面とレジンセメント内の両者において生じ,セメントの物性が破壊挙動に大きな影響を持つことが分かった。
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Research Products
(1 results)