1989 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動機能検査における指標の信頼特性に関する研究
Project/Area Number |
01571078
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
川口 豊造 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60064820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲藤 克彦 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (10201419)
田中 清雄 愛知学院大学, 歯学部, 助手 (70175446)
森 隆司 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (00159188)
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Keywords | 咀嚼運動機能 / 臨床検査 / 指標の信頼性 / 試験食品 / 下顎運動 / 筋電図 |
Research Abstract |
患者の咀嚼運動機能の状態を正確かつ客観的に捉え得る信頼性の高い指標を検索し、さらに試験食品が測定値の信頼度に及ぼす影響を検討して、臨床検査に有効な評価方法を得ることを目的とする。 健全有歯顎者の対象に、同一日にレ-ズン・ピ-ナッツ・チュ-インガムの3種の試験食品を咀嚼させて観測する操作を、日を改めて計5回繰り返し行い、下顎運動と表面EMGの同時掃引波形から求めた7種の時間的計測項目(開口相:Op・閉口相:Cl・停止相談:St・周期:Cy、筋放電持続時間:D・同間隔時間:I・Ia)の指標としての信頼性を定量的に検討した。結果の概要を、以下に示す。 (1)下顎運動・EMG共に、初日(第1回目)の測定値(実時間の平均値)を除くと2回目以降の値は日間変動が極めて小さい。(2)2〜5回目までの計4回の測定値の日間変動の幅(レンジ)を食品別にみると、下顎運動ではレ-ズン咀嚼時の変動が最も小さく、次いでガム・ピ-ナッツの順であった。ピ-ナッツの変動様相は個人差が大きく不安定であった。EMGでは、レ-ズンの変動が最も小さく、次いでピ-ナッツ・ガムの順である。(3)咬合接触時に運動が三次元的に停止する期間(停止相:St)と、筋放電終了後からの停止相終了までの時間(Ia)でけは、すべての食品で第1回目から変動を示さない。(4)EMGのIを除くすべての計測項目で、実時間の平均値は食品差が極めて小さい。(5)咀嚼時の下顎運動とEMGの時間的測定値を臨床的に安定した情報として捉えるには、試験食品としてレ-ズンを用いるのが良いこと、またStとIa以外の指標については少なくとも1回の練習日を設けて、2回目以降の値を検査値とすべきである。(6)第1回目の測定値には被験者の種々の情報的要素や測定装置自体に対する慣れなどの関与を考えるが、詳細については不明確なので、さらに定量的な検査を要する。
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