1990 Fiscal Year Annual Research Report
温熱療法時における腫瘍内血流による冷却効果に関する研究
Project/Area Number |
01571083
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 岐男 北海道大学, 歯学部, 教授 (30018353)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 隆文 北海道大学, 歯学部, 助手 (80178748)
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Keywords | 温熱療法 / ハイパ-サ-ミア / 腫瘍内血流 / 昇圧化学療法 |
Research Abstract |
1.ドンリュウラット(8週齢)の背中に移植した腫瘍に熱電対の温度センサ-と血流計のセンサ-を刺入し、2450MHzのマイクロウェ-ブで43℃まで加温した。大腿動脈にカテ-テルを刺入して同時に血圧もモニタ-した。腫瘍内温度が定常状態に達してから、アンギオテンシンIIを投与して血圧を上昇させたところ、腫瘍内の血流は増加したが、腫瘍内温度はほとんど変化しなかった。 2.腫瘍加温時、ラットの体温が著明に上昇したために、腫瘍に流入する血液の温度も高くなったと考えられるので、この実験結果から腫瘍内血流の冷却機構の仮説を検証することは不可能であった。 3.当初、血流と腫瘍組織間の熱伝導の影響を考えていたが、温度変化に基づく腫瘍血管径の変化の存在を仮定しても、血圧上昇時に腫瘍内温度が低下しない症例を説明できることに気付いた。つまり、血圧が上昇して血流が増加し、腫瘍血管が冷却されると、腫瘍血管が収縮して血流抵抗が増大し血流が減少する。したがって、血圧が上昇しても血流が増加せず、腫瘍内温度も低下しないということになる。 4.前述のいずれの仮説を検証するにも、腫瘍内に流入する血液の温度が体温近くまで冷却される必要がある。そのためには、人間の腫瘍で行なうか、人間程度の大きさの実験動物を用いるか、あるいは、ラットの血液を冷却する装置を作製するかなど、いくつかの方法が考えられる。倫理上の問題や、ハイパ-サ-ミア装置の使用を考えると、ラットによる実験が現実的であるが、このような装置を作製して実験を行なうのは容易ではなく、今回実現しなかった。
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