1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571085
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
幸地 省子 東北大学, 歯学部附属病院, 講師 (30005045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 光喜 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (50212717)
猪狩 俊郎 東北大学, 歯学部, 助手 (10142994)
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Keywords | 骨移植 / 海綿骨細片移植 / 口唇・口蓋製 / 顎製 / 咬合誘導 |
Research Abstract |
本年度に新たに得られた知見は、以下の通りである。 1.骨移植後5年以上を経過し、咬合形成がほぼ終了した症例を対象とし、経時的に採得した石膏模型のモアレ写真を撮影して、骨移植後の歯槽堤の変化を観察した。その結果、術後矯正治療を行うことで、術前よりも歯槽堤の形態が改善し、良い場合の者のそれと類似した状態となった例、逆に矯正治療が進むにともなって形態が悪くなった例があることが判明した。前者では、顎製部で歯を隣接させて排列していた。一方、後者では、移植骨を被覆するのに類粘膜弁を使用している上に、顎製相当部には補綴物を装着する計画で、その部位の空隙を広げていた。 2.8ないしは9歳で顎製への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植を行い、長期観察ができた例を対象として、上顎骨の成長変化を見た。同じ時期に骨移植を行っても、上顎骨の成長が悪い例と良い例とがあった。これは、初回手術の影響の差と考えられ、骨移植の影響は小さいと言える。 3.術前および術後1年でX線CTを撮影できた24症例について、骨架橋の3次元形態を把握した。それによれば、ほとんどの例で、骨架橋は、顎製近心側が細く、鼻腔側に十分高くは形成されていなかった。したがって、術式の改良を要する。すなわち、これまでよりも広い範囲にわたって顎製周囲の粘膜骨膜を剥離して、大きい移植母床を形成し、そこに移植骨を十分に充填する必要がある。また、中切歯の口蓋例にも骨欠損がある例では、ここにも海綿骨細片を移植しなければならない。 4.過去20年間にわたって口唇・口蓋製に対して行われてきた手術の種類とその頻度を調査した。その結果、顎製への骨移植の頻度が次第に高くなり、昨年は、約半数を占めていたことが明かとなった。これは、顎製への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植を行うことで咬合形成が容易となるので、咬合管理を行っているほぼすべての者に施行した結果である。
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