1990 Fiscal Year Annual Research Report
人為的低血圧麻酔法の圧反射系,および顎顔面の循環動態に及ぼす影響
Project/Area Number |
01571090
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
染矢 源治 新潟大学, 歯学部附属病院, 教授 (60107787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 治子 新潟大学, 歯学部, 助手 (10216799)
成 辰煕 新潟大学, 歯学部, 講師 (80163070)
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Keywords | 大動脈神経 / 遠心性交感神経活動 / 圧受容体 / 化学受溶体 / 家兎 / ハロ-セン |
Research Abstract |
末梢性の呼吸循環調節機構において末梢性化学受容器または圧受容器は,大動脈神経または頚動脈洞神経に存在する遠心性活動により,調節されていると言われているが,その詳細については明確にされていない。 そこで本年度(最終年度)では,大動脈神経内に存在する交感神経の遠心性活動の末梢化学受容器または圧受容器支配に対する吸入麻酔薬(ハロ-セン)の影響を研究することとした。 実験は成熟家兎を用い,ハロ-センで浅い全身麻酔下に行った。両側の大動脈神経の切断後,銀電極にて遠心性神経活動を記録した。 結果:大動脈神経の中枢端から記録される遠心性の神経活動は末梢の圧受容器の興奮により抑制され,化学受容器の興奮により増加することが明らかにした(昨年度の結果)。これらの活動はハロセンの吸入により減少し,吸入麻酔薬は遠心性活動に対し抑制的に働くことが明らかになった。さらにハロセン吸入によって人為的に血圧を低下させて大動脈部に存在する圧受容器に及ぼす影響を調べたが,胸部交感神経活動は圧受容器の求心性活動に対して抑制的に作用することが分った。したがって大動脈神経の遠心性交感神経活動も圧受容器に対して抑制的に作用すると考えられる。 以上のことから,大動脈神経内の遠心性交感神経活動は,末梢性の圧受容器または化学受容器を調節し,過剰な反射を惹起しないように働いていると考えられる。今後はこれらが末梢性呼吸循環調節機構の中で,どのような生理学的役割を持つのか,麻酔管理上どのような意義があるのか検討したい。さらに遠心性線維の組織学的同定を行い,家免では,初めての報告となった大動脈神経内の遠心性交感神経の存在理由を解明するつもりである。
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