1989 Fiscal Year Annual Research Report
舌癌におけるファイブロネクチンの腫瘍マ-カ-としての意義
Project/Area Number |
01571102
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
吉屋 誠 昭和大学, 歯学部, 講師 (00119281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金本 恵子 昭和大学, 歯学部, 助手 (30177547)
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Keywords | 舌扁平上皮癌 / ファイブロネクチン / 舌癌由来細胞株 / 癌転移 / 酵素抗体法 / ELISA法 |
Research Abstract |
舌癌は口腔癌の中で転移しやすく、転移の有無とその予後には密度な関係がある。一方、ファイブロネクチンは癌細胞の移動、血管およびリンパ管への接着など転移形成の過程に関与している可能性が示唆されている。今年度はその基礎的研究として、我々が樹立したヌ-ドマウス可移植性舌扁平上皮癌由来細胞株(NA cell)を用いて、ファイブロネクチンの局在および産生を検索した。 まず、NA cellをゼラチン・セファロ-ズ4Bアフィニティカラムで可及的にファイブロネクチンを吸収させた血清で培養し、3日目にモノクロナ-ル抗体によるアビジン・ビオチン免疫ペルオキシダ-ゼ法(ABC法)で検討したところ、細胞表面および核周囲の細胞質にファイブロネクチンが強く染色される細胞が認められた。ポジティブコントロ-ルとしたヒト歯肉由来線維芽細胞では、ほとんどすべての細胞にファイブロネクチンの局在が認められた。そこでNA cellから培養液中に産生放出されるファイブロネクチンの量を、経時的にconditioned mediumをサンプリングしてELISA法で測定した。その結果、ファイブロネクチンを可及的に吸収させた仔牛血清を20%添加した培養液中のファイブロネクチン濃度は、0.29μg/mlであるのに対して、培養1日目では0.5μg/ml、3日目で1.0μg/ml、5日目で1.5μg/mlを示した。その濃度は、8日目ごろから急上昇し、10日目では7.0μg/ml、12日目で11.7μg/mlになった。この結果をNA cellの増殖曲線と比較検討すると、ファイブロネクチンは対数増殖期ではあまり産生されず、定常期になって急激に産生されることが判明した。 今後、NA cellにおけるファイブロネクチンの役割を検討するとともに、癌原発巣および転移巣におけるファイブロネクチンの局在をABC法で観察し、腫瘍の分化度と比較検討する予定である。
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Research Products
(1 results)