1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571111
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
植野 茂 大阪歯科大学, 講師 (20151813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
虫本 浩三 大阪歯科大学, 助教授 (30067061)
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Keywords | エナメル上皮種 / ケラチン / 免疫組織化学 / 腫瘍分化 / 偏平上皮化生 |
Research Abstract |
エナメル上皮腫の分化を検討することを目的に、腫瘍細胞におけるケラチンの分布を免疫組織化学的に観察した。材料に当科で治療した27齢から外科的に採取した組織を用いた。これらのエナメル上皮腫の組織型はplexiform typeが15例、follicular typeが12例、acanthomatous typoが2例、basal cell typoが3例であった(27例の内3例は2種類以上の組織型を含み、各々に重複し数えた)。摘出した組織はパラフィン包埋したのち通法どおり光顕切片とし、抗ケラチン抗体として、ポリクロ-ナル抗体(TTL)、抗高分子ケラチン・モノクロ-ナル抗体(KLl)、および抗低分子ケラチン・モクロ-ナル抗体(PKK1)を用いてPAP法にて染色した。 follicular typeにおける星状細胞は12例中10例がTTLに、12例中11例がKL1に陽性となったが、PKK1の陽性率は低く12例中5例であった。また、円柱細胞はいずれの抗体に対しても陽性率は低かった。acanthomatous typeはfollicular typeと同様、星状細胞がTTLあるいはKLlに陽性となった。basal cell typeでは胞巣の周辺部、中心部ともにPKK1陽性となる傾向にあった。plexiform typeの星状細胞ではTTL,KL1,PKK1がそれぞれ5例中9例、7例、4例に陽性であった。円柱細胞ではTTLが15例中3例、KL1が2例と低かったのに対して、PKK1は15例中7例で、TTL、KL1に比較して陽性率はやや高かった。 これらのことから考えて、follicular typeはacanthomatous typeと同様に、偏平上皮化生の傾向にあり、basal cell typeは表皮の基底細胞層に対応した分化をしているものと解釈された。またplexiform typeは、一部はbasal cell typeと同様基底細胞型の分化を示すものの、その大多数は腫瘍分化の幼若な段階に留まっていることが示唆された。
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[Publications] Akira Matsuo shigeru Ueno: "Immunohistochemical demonstration of keratin in ameloblastoma as an indicator of tumor differentiation" J.Oral Maxillofac Surg.
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[Publications] 松尾亮,植野茂,虫本浩三,白数力也: "エナメル上皮種の免疫組織学的研究-ケラチン,CEA、EMAの局在について-" 日本口腔外科学会雑誌. 34. 2938-2939 (1988)