1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571114
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
高木 裕三 東京医科歯科大学, 歯学部, 助教授 (30124697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 純二 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (80177451)
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Keywords | 実験病理学 / ラット / 根未完成歯 / 脱臼 / 予備観察 |
Research Abstract |
ホ-のプライヤ-を応用した脱臼装置を用い、生後3週齢のウイスタ-系ラットの上顎第一臼歯を口蓋側へ加圧して脱臼した。この時、全ての個体に均等な脱臼状態を生じさせるため、加圧の強さと歯の移動度は一定の値に統一し、また加圧時間も一定範囲に揃えた。それらの値は歯根破折や歯槽骨骨折を伴わない範囲で最も強い脱臼状態を生じさせるように設定した。予備実験の結果、このようにして生じさせた脱臼状態は個体間ほとんど差がないことが病理組織学的評価によって確かめられた。このようにして脱臼させた臼歯を整復や固定などを行う事なく放置し、一定時間後にラットをト殺、脱臼歯およびその周辺組織の経時的な病理組織学的変化を術後14日まで調べた。その結果、脱臼直後では圧迫側歯根膜に線維の断裂や細胞変性、出血が観察され、牽引側歯根膜では線維の切断、出血などが観察された。12時間後から圧迫側歯根膜にcell free areaが出現しはじめ、この部位に接する歯槽骨からも骨細胞の消失が認められるようになった。術後2〜3日目からcell free areaに細胞成分が再び出現するようになり、歯槽骨の壊死層は改造現象によって新しい骨に置き換えられるようになった。このような変化はその後も継続し、全体として損傷は治癒する傾向にある。ところが、術後5日頃から圧迫側に歯根吸収が出現し始め、順次拡大する傾向を示した。これは主に歯根表面の吸収であり、深部への拡大は認められない。脱臼歯の歯髄では脱臼直後から12時間後にかけて冠部歯髄腔の象牙芽細胞が象牙細管の中に引き込まれているのがみられた。しかし、このような変化はその後減少し、術後5〜7日で殆ど認められなくなる。一方、この頃から一部の歯に不規則な象牙質の形成が認められるようになった。これらの結果をふまえ、歯根吸収ならびに歯髄の変化について、より長期に渡る経過を追跡すべく実験を継続中である。
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