1989 Fiscal Year Annual Research Report
超弾性型ニッケル・チタン合金線の顎間スプリングへの応用
Project/Area Number |
01571115
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
茂木 正邦 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (30134729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 不二夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90013789)
|
Keywords | 超弾性型ニッケルチタン合金線 / 顎間スプリング / 熱処理 |
Research Abstract |
従来、矯正治療において使用されてきた顎間ゴムに代えて、超弾性型ニッケルチタン合金線の特性を生かしたコイルスプリングを顎間スプリングとして用いるため、それに適した形状、力の大きさにおける検討、また繰り返しの開閉口による伸縮疲労試験などを行い、詳細に検討を行った。 スプリングに用いるワイヤ-の線径については、従来用いられている顎間ゴムが約100g前後ということから、それと同等の力が発揮できる線径0・009inchおよび0.010inchのものが適当であることがわかった。スプリングの形態は、直径0.030inchか0.035inchのコイル状にすると発現する力が100g前後となり、さらに変形がスプリング全体に均等に分散されるため、応力の集中がなく、顎間スプリングとして適当であると考えられた。熱処理温度および熱処理時間については熱処理時間を長くし、変態温度を上げると、引っ張り試験での伸張時と復元時との力の差、すなわちヒステリシスが大きくなるため適当ではないと判断された。そのため熱処理温度を420℃程度の低温とし熱処理時間を短くしたものが顎間スプリングとしては適当であると考えられた。 臨床応用の点では、これらの所見より試作した顎間スプリングを実際臨床において用いたところ、矯正治療上、良好な治療効果がみられ、従来使用されている顎間ゴムに代えて、超弾性型ニッケルチタン合金線による顎間スプリングの使用が臨床上、有効であると示唆された。 今後の研究の課題としては、臨床応用した際に破折の一因となる、応力の集中がおきやすい両端のアタッチメント部や、スプリングのかけ方などに対する配慮が必要と考えられる。また、ニッケルチタン合金線の結晶構造は不明な点が多いため、合金線の組成や熱処理温度を変え、より詳細な検討も必要となるだろう。
|
Research Products
(1 results)