1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571116
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
栗原 三郎 東京医科歯科大学, 歯学部, 講師 (70126225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 不二夫 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90013789)
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Keywords | 矯正学的歯の移動 / 破骨細胞 / 破骨細胞の起源 / マイクロマニュピレ-タ- |
Research Abstract |
歯科矯正学的な観点より、骨吸収の主役と考えられている破骨細胞の起源を明確にすることは、歯の移動メカニズムを知り、より効率的な矯正治療を成就する上で非常に重要である。当初本研究計画では(1)電顕オ-トラジオグラムと免疫電顕法を併用し、また、(2)蛍光抗体16mm顕微鏡映画法を応用し、さらに(3)マイクロマニュピレ-タ-により単核前破骨細胞を単独に取り出した後に破骨細胞をin vitroで形成することなどにより、破骨細胞の起源を明らかにしようとすることが三大項目であった。しかしながら、研究期間が1年弱と短いものであたために、各項目の研究とも完成の域には達していないが、大変に興味のある結果が出始めているので、ここに総括することとする。(1)ラット臼歯を矯正用ゴムにて移動した後に骨吸収窩を中心とした電顕オ-トラジオグラムを作製し、破骨細胞の起源に成り得る細胞を形態学的に検討した。電顕用の試料の観察は充分に行われていないが、光顕用試料の観察結果では、Scott('67)の言う単核前破骨細胞様細胞に^3H-Thymidineの取り込みが認められたのと同時に多核破骨細胞にも一部その取り込みが観察された。(2)ラット長管骨骨髄細胞を骨小片とともに培養を行い、ビタミンD_3及びIL-1β添加時の破骨細胞形成を16mm顕微鏡映画で長期間観察すると、骨髄由来のマクロファ-ジ様単核細胞が融合し、骨小片に向かい、骨小片上で骨吸収を行う様相が認められた。(3)マウス頭頂骨由来の遊走性単核細胞を一個ずつマイクロマニュピレ-タ-により釣り上げ、クロ-ン化された前破骨細胞株を樹立しようと努力している。現段階では細胞単独の釣り上げは可能になったが、その細胞の増殖を行うに至っていない。これら3つの研究結果から破骨細胞の起源は血液細胞由来のマクロファ-ジ様単核細胞であると推察される。
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[Publications] 河野博,他: "活性型ビタミンD_3局所投与を伴う歯の移動時の歯槽骨吸収様相" 骨代謝学会雑誌. 7. 133 (1989)
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[Publications] 栗原三郎,他: "微細ガラス管による細胞活性物質の破骨細胞への直接投与" 骨代謝学会雑誌. 7. 211 (1989)
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[Publications] Kurihara,S.et al: "Time-lapse 16mm Cinemicroscopic Obsevation on Fate of an Osteoclast in vitro" J.Bone and Mineral Res. 4. S201 (1989)
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[Publications] Kurihara,S.et al: "Fundamentals of Bone Growth.Dixon,A.and Sarant,B.ed" The Telford Press, (1990)