1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丹根 一夫 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30159032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 敏 大阪大学, 歯学部, 助手 (00175887)
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Keywords | 顎関節 / 関節円板 / 生体力学 / 有限要素法 / 応力解析 / 主応力 |
Research Abstract |
本年度においては、昨年度の研究成績に基づき顎関節部における生体力学的変化を明らかにすべく、ヒト顎関節の三次元有限要素モデルの構築とこれを用いた応力の解析を行った。 1.ヒト顎関節の三次元有限要素モデルの構築 ヒト乾燥頭蓋骨をフランクフルト平面に平行に分割し、側頭骨、下顎骨を含む水平分割片を作製した。次に、これの等倍大の写真を基にして同部の外形を作り、これをモデル作製の基本図形とした。下蓋骨から側頭骨までの基本図形上で二次元的な要素分割を行った後にすべての平面図をフランクフルト平面に直交する方向に積み上げることによりモデルの構築を完了した。この時点で、モデルの幾何学的等価性を検討するとともに、すべての要素について要素形態のチェックを行った。その結果、構築されたモデルは十分な精度を有することが確認された。なお、本解析モデルは、2082個の節点と1340個の固体要素より構成されることとなった。 2顎関節における応力解析 解析に先立ち、下顎骨ならびに周囲の顎骨に付着する筋の走行と相対的な筋力をモデルに組み込んだ。次いで、下顎骨を上顎部と咬合させた状態で、わずかに下顎骨を後方へ変位させるような力を負荷した場合について顎関節部の応力解析を行った。その結果、1)下顎頭方向への単一の力を負荷した場合でも、顎関節円板の応力特性は部位にって異なること、2)顎関節部の各構成要素の正し位置関係が保持されている場合には、顎関節内部での応力は外力と比較してきわめて小さな値であること、3)下顎頭を後上方へ変位させるような力系が加わった場合、関節円板の前内方への転位が惹起される可能性があること、などが明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 高杉 広仁,他: "下顎窩と下顎頭の三次元的位置関係の評価ー同時多層断層X線写真による解析方法とその臨床応用例ー" 日本矯正歯科学会雑誌. 49. 237-246 (1990)
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[Publications] Kazuo Tanne,et al.: "Association between mechanical stress and bone remodeling" Journal of Osaka University Dental School. 30. 64-71 (1990)
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[Publications] 田中 栄二,他: "引張り試験による顎関節円板の生体力学的性状の検討" 大阪大学歯学雑誌. 36. (1991)
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[Publications] Kazuo Tanne,et al.: "Biomechanical behaviour of articular disc in adult dogs:A measuring method and preliminary results" The Proceedings of Interfaces'90. (1991)
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[Publications] Kazuo Tanne,et al。: "The elastic modulus of the temporomandibular joint disc from adult dogs" Journal of Dental Research. (1991)
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[Publications] 丹根 一夫,他: "関節部,特に顎関節部に対する生体力学的研究の応用" 日本歯科医学会雑誌. 10. (1991)