1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571121
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 悦央 岡山大学, 歯学部, 助教授 (20091316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 達夫 岡山大学, 歯学部, 教授 (20034176)
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Keywords | 付着 / 顎・舌下腺唾液 / ストレプトコッカス・ミュ-タンス / ペリクル / ハイドロキシ・アパタイト / 高分子蛋白質 |
Research Abstract |
本研究の対象物質はヒト顎舌下腺唾液に含まれるStreptoccus mutans(血清型C)株のハイドロキシアパタイト(HA)への付着を促進する蛋白質(APP)である。APPは多形性であり、ラウリル硫酸ナトリウム(SDS)-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で1本或いは2本のバンドが観察される。APPの分子量は248-335KDaの範囲に分布し、その分布は3峰性である。更にAPPの合成は遺伝子制御下にある可能性が示唆されている。 本研究では1本バンドを示す被検者の顎舌下腺唾液を用い分離・精製を行い、若干の性状検討を行った。採取唾液の透析後Trisacryl GF2000Mカラムでゲル濾過した。得られたムチン含有画分をSDSで処理後、SDS存在下で再びゲル濾過し、主ピ-クより若干遅れて溶出したピ-クをAPP画分とした。SDS-PAGEゲルの銀染色像は分離が良好であることを示した。細菌付着実験で、APP画分はS.mutans(血清型C)数株のHAビ-ズへの付着を促進した。次にAPPの付着促進活性の阻害について検討した。ヘキソ-ス、ヘキソ-スアミン、N-アセチルヘキソ-スアミン、アミノ酸、ポリアミン等を用いて調べたところ、アミノ酸、ヘキソ-スアミン、ポリアミンにより阻害が認められた。この結果はAPPの付着促進機序にアミノ基が関与している可能性を示唆している。最後に、透析顎舌下腺唾液、ムチン含有画分及びAPPについて同様の阻害実験を試みた。三サンプルに同様の阻害傾向が認められ、精製過程での本物質の付着促進活性の性状に変化はないと推察された。今回の結果は既に報告した2本バンド試料の結果と類似していた。このことはAPPは多形性を示してはいるが、S.mutams付着促進活性を共通して保有している可能性を示唆している。現在、更に詳細な検討を行っている。
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