1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571133
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森 美和子 北海道大学, 薬学部, 助教授 (80001981)
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Keywords | 電極反応 / 陽極酸化 / γ-ラクタム / α-アセトキシ-γ-ラクタム |
Research Abstract |
電極反応は無公害プロセスとして重要な反応である。申請者はこれまで、電極反応を有機合成に取り入れるべく検討し比較的複雑な系にこれを利用出来ることを示してきた。特に非コルベ型の反応を利用し、単環性のβ-ラクタムの4位にアセトキシ基を導入する方法を確立し、光学活性なチエナマイシンを合成するうえで重要な中間体である4-アセトキシ-3-ハイドロキシエチル-2-アゼチジノンや(+)-PS-5の形式合成に成功した。本反応をγ-ラクタムの合成に応用すべく研究を開始した。ピログルタミン酸(1a)をAcONaを支持電解質としてAcOH-CH_3CN中で陽極酸化を行ったところ高収率で2-アセトキシピロリドン(2a)が得られた。本化合物は不安定であるが単離可能であり、2-位に種々の官能基を導入するうえで究めて重要な化合物である。次に窒素上にアルコ-ルを有する1b,1cを合成し、同様に陽極酸化を行ったところ2b,2cが得られた。これらはγ-ラクタムをもつオキサセファム、オキサペナム骨格に相当する化合物であり、極めて興味がもたれる。本反応は、酢酸中であるにも拘わらず極めて高い収率で窒素のα-位のカルボン酸が脱炭素を受ける。そこで、3を合成し2.0F/mol通電したところ75%の収率で4が得られた。恐らく本陽極酸化はそれぞれの酸の共役塩基の濃度に依存して進行するため、窒素のα-位のカルボキシレ-トの一電子引き抜きが最も早いのであろう。本反応を用いて更にγ-ラクタム誘導体の合成を検討中である。
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