1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
富岡 清 東京大学, 薬学部, 助教授 (50114575)
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Keywords | 有機化合物 / 癌 / 抗腫瘍活性 / 合成 / 不斉合成 / 光学活性体 |
Research Abstract |
ポドフィロトキシン系制癌化合物の短工程不斉全合成の達成を目的として開始した本研究では、極めて実り豊かな成果が得られつつある。以下に要点のみを順次列挙する。 第一は、ナフタレンカルボン酸エステルへの有機リチウム反応剤の共役付加反応の開発に成功した。本反応は1ーおよび2ーナフタレンエステルから1、2 二置換ジヒドロナフタレンへの高選択的、高収率変換法を達成したものである。また、芳香環での任意位置での結合形成反応としても有効な方法に発展する可能性が拓かれたものと考えている。 第二は、ナフタレンカルボン酸エステルへの付加反応で生成したエノラ-トをス-パ-ヒドリドの存在下加熱すると、ケテンを経由する還元によりアルデヒドエノラ-ト生成の新しい方法論が開拓できたことである。本還元法により、ジヒドロナフタレン類の一般的合成法の展開が可能となった。 第三は、ナフタレンアルデヒドのイミンと有機リチウムをキラルな配位子の存在下反応すると、加水分解後、極めて高い光学純度で付加体が得られる新しい不斉共役付加反応を開発できたことである。本不斉合成は、他の基質を用いても高選択的に進行し、エナンチオ選択的不斉反応への広範な展開が期待される。第四に、ポドフィロトキシンの2位窒素置換体の設計および簡便な合成法の開発に成功し、さらに極めて強い抗癌活性があることを見出したことである。この結果は、新しい制癌剤開発の一歩になりうる成果である。 最後は、以上の総合的成果であり、新しいポドフィロトキシン系骨格をもつ抗癌剤を、極めて効率よく触媒的不斉合成で合成する方法が開かれたことである。今後の展開が楽しみである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka: "Design,Synthesis,and Antitumor Activity of Steganacin Aza-Analogue" Tetrahedron Letters. 30. 2949-2952 (1989)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka: "Synthesis and Antitumor Activity of Aza-Podophyllotoxin Analogue" Tetrahedron Letters. 30. 2953-2954 (1989)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka: "Efficient Stereoselective Synthesis of 2-Aza-4'-demethyl-podophyllotoxin" Journal of Chemical Society,Chemical Communication. 21. 1622-1624 (1989)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka: "Novel Strategy of Using a C_2 Symmetric Chiral Diether in the Enantioselective Conjugate Addition of Organolithiums to Aldimine" Journal of Americal Chemical Society. 111. 8266-8268 (1989)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka: "Conjugate Addition Reaction of Organolithium to Naphthalenes" Tetrahedron Letters. 31ー. (1990)
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[Publications] Kiyoshi Tomioka: "Reductive Generation of Aldehyde Metal Enolate from Ketene"