1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571164
|
Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
橋本 俊一 帝京大学, 薬学部, 助教授 (80107391)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳谷 由己 帝京大学, 薬学部, 教務職員 (10200544)
|
Keywords | フォルスコリン / アデニル酸シクラ-ゼ / 構造活性相関 / 全合成 / ラブダン型ジテルペン / ブテノリド / 分子内Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
現在までに、天然フォルスコリン及びその同族体からの化学変換により50種以上の誘導体がつくられ、それらを用いた構造活性相関の研究が進められてきたが、1α-OH、9α-OH、及び11位カルボニル基にかけての領域が活性発現に関わっているとの知見が得られているに過ぎない。我々は最近、Z,E-ジエンをを組み込んだブテノリドの異性化触媒チオフェノ-ル存在下(Z,E-ジエン【double arrow】E,E-ジエン)での分子内Diels-Alder反応を鍵段階とする(±)-フォルスコリンの全合成を達成した。全合成により得られた(±)-フォルスコリンは、ラット脳の顆粒分画のアデニル酸シクラ-ゼに対し、天然品の約1/2の活性を示した。一方、(±)-1,6,7-トリデオキシフォルスコリンは予想通り全く活性を示さなかった。又、活性発現の本体に近い誘導体と期待した(±)-6,7-ジデオキシフォルコリンも全く活性を示さなかった。そこで、6α、7α-水酸基の活性発現に及ぼす影響を調べるべく、更に短段階経路によるAB→C環構築法の開発を目指し、ジヒドロピラノンへの有機銅試薬の共役付加を鍵段階とする(±)-6,7-ジデオキシフォルコリンの合成を進めた。モデル実験として行なった(±)-1,6,7-トリデオキシフォルスコリンにおいて得られた知見をもとに数多くの検討を重ねたが、ジヒドロピラノンへの有機銅試薬の共役付加は困難を窮め、結局この方法では(±)-6,7-ジデオキシフォルスコリン合成を行なうことはできなかった。しかし、幸運にも、共役エノンのオキシ水銀化を経る環化反応において、E,Zいずれのエノンを用いても望みの立体配置を有するテトラヒドロピラノンが得られ、目的とした(±)-6,7-ジデオキシフォルコリンの効果的合成を達成することができた。しかし、ここに得られた(±)-6,7-ジデオキシフォルコリンも全く活性を示さなかった。この結果は、1位、9位水酸基のみならず、6位及び(或るいは)7位水酸基も活性発現に必要であることを示唆している。
|
-
[Publications] 橋本俊一: "A Stereocontrolled Synthesis of(±)-1,6,7-Trideoxyforskolin" J.Chem.Soc.,chem.Commun.24-25 (1987)
-
[Publications] 橋本俊一: "A Total Synthesis of(±)-forskolin" J.Am.Chem.Soc.110. 3670-3672 (1988)
-
[Publications] 橋本俊一: "A Stereocontrolled Synthesisof(±)-6,7-Dideoxyforskolin" Chem.Lett.(1990)