1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571178
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勝 孝 岡山大学, 薬学部, 助手 (40112156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 喬 岡本大学, 薬学部, 教授 (00033275)
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Keywords | 生体膜と薬物の相互作用 / 膜損傷 / 膜透過 / 構造活性相関 / 両親媒性分子 / グラミシジンS / 赤血球の形態 / イオン選択性電極 |
Research Abstract |
抗生物質グラミシジンS,cyclo(ーValーOrnーLeuー_DーPheーProー)_2,は種々の生体膜の透過性を増大するが,その作用発現にはこのペプチドがβシ-ト構造をとり,塩基性のオルニチン残基と疎水性のアミノ酸残基が反対方向に向く両親媒性構造が重要であることが指摘されていた。ところが我々は,塩基性アミノ酸残基をもたないグラミシジンSアナログ,cyclo(ーValーAlaーLeuー△PheーProー)_2(△Pheはα,βーテヒドロフェニルアラニンを表している),にも生体膜の透過性を増大する作用があることを見いだした。ヒト赤血球の形態変化を観察してみると,グラミシジンSはコンペイト-状のエキノサイト型を誘起したのに対し,アナログはカップ状のスタマトサイト型を誘起した。エキノサイト型は膜脂質二重層の外層部へのペプチドの蓄積,スタマトサイト型は内層部への蓄積によって引き起こされていると考えられ,我々はそのようなアンバランスな蓄積が膜構造を不安定化し,結果的に膜破壊を導いたものと考えた。ところで,赤血球がエキノサイト型あるいはスタマトサイト型に変形すると細胞外部あるいは内部ヘベシクル遊離が起こることが電子顕微鏡により観察されている。細胞外へのベシクル遊離は細胞とベシクルが遠心分離で簡単に分別できたことから化学的にも分析可能であるが,細胞内への遊離はその分離が因難なため直接的な観察以外には分析は難しいとされていた。我々はベシクルのサイズが比較的大きいことから,ベシクル内には外液中に溶解させておいたマ-カ-がトラップされると予想し,その取り込みから細胞内ベシクル遊離を評価しようと考えた。マ-カ-はイオン選択性電極により検出可能なテトラエチルアンモニウムイオンを選んだ。その結果,スタマトサイト型変形のときのみこのマ-カ-がトラップされ,この方法は細胞内へのベシクル遊離の新しい測定法になることがわかった。
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[Publications] Takashi Katsu: "Mode of action of the gramicidin S analogs lacking hydrophilic amino acid residues on biomembranes" Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 38. 2880-2881 (1990)
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[Publications] Takashi Katsu: "Mechanism of cellular membrane damage induced by melittin and mastoparan" Japanese Journal of Medical Science and Biology. 43. (1990)
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[Publications] Takashi Katsu: "Erythrocyte shape changes and simultaneous tetraethylammonium ion uptake induced by amphiphilic compounds" Journal of PharmacobioーDynamics. 14. (1991)
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[Publications] Takashi Katsu: "Amphiphileーinduced erythrocyte shape change and simultaneous tetraethylammonium ion uptake" Chemical and Pharmaceutical Bulletin. 39. (1991)
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[Publications] Takashi Katsu: "New agents to increase the permeability of the outer membrane of Escherichia coli" Biochemistry International. (1991)