1990 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体を用いた共鳴ラマンスペクトルによる金属ポルフィリンの酵素様作用の解析
Project/Area Number |
01571179
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
尾堂 順一 岡山大学, 薬学部, 助教授 (70093680)
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Keywords | 金属ポルフィリン / ポルフィリン担持樹脂 / 酵素様活性 / 安定同位体 / 共鳴ラマンスペクトル |
Research Abstract |
ペルオキシダ-ゼやウリカ-ゼ等その活性に金属ポルフィリンが関係する酵素の機能とそのメカニズム等を明らかにする目的で,各種の水溶性金属ポルフィリン(TPPS;tetrakis(sulfophenyl)porphine,TMPyP;tetrakis(1ーmethylpyridiniumー4ーyl)porphine等)及びそれらをイオン交換樹脂に担持した樹脂(担持樹脂,MーP_r)を取り上げ,それらの共鳴ラマンスペクトルを詳細に検討した結果,次に示す知見が得られた. 1.各種の金属同位体を含む金属ポルフィリンを合成し,それらの共鳴ラマンスペクトルを検討した.NiーTMPyPでは,^<58>Niー^<62>Ni置換による同位体効果により,NiーN(ピロ-ル環)及びNiー配位子伸縮振動を明らかにした結果,その波数は同じであり,Niの周りの構造は,水溶液と担持樹脂上のNiーTMPyPではほとんど同じであることが分かった.他の金属ポルフィリンについては現在検討中である. 2.担持樹脂上の金属ポルフィリンの構造及び性質を明らかにするために,共鳴ラマンスペクトルを検討した.先ず,NiーTMPyP_rでは,イミダゾ-ル存在下では,4配位,5配位及び6配位構造をとることが分かった.しかも,NiーTMPyP_rにレ-ザ-光を照射すると,6配位から5配位へ,更に5配位から4配位へと軸配位子の光解離を起こすことを明らかにし,ヘム蛋白等の光化学反応を解明するための基礎的で重要な情報をえることが出来た. 3.一部の担持樹脂が,カタラ-ゼとウリカ-ゼの両酵素様反応を同時に触媒する機能があり,尿酸の定量分析に応用すると共に,その反応機構を検討した.活性の強いMnーTPPS_rで詳細に検討した結果,先ず,ウリカ-ゼ様作用による尿酸の酸化に伴い過酸化水素が生成し,引き続き,この過酸化水素の一部はカタラ-ゼ様作用によりメタノ-ルをホルムアデヒドに酸化する反応に利用されることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Junichi Odo: "Resonance Raman Spectra of IonーExchange Resins Modified with ManganeseーPorphyrins Exhibiting UricaseーLike Catalytic Activity" Chemical and Pharmaceutical Bulletin.
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[Publications] Yutaka Saito: "Photoreduction of Metalloporphyrins on the Modified Resins Proved by Resonance Raman Spectroscopy" Chemical and Pharmaceutical Bulletin.