1990 Fiscal Year Annual Research Report
常温硬化性シリコ-ンポリマ-を利用した植込型徐放性抗癌剤の開発研究
Project/Area Number |
01571187
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Research Institution | Department of Physical Chemistry, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Hoshi University. |
Principal Investigator |
上田 晴久 星薬科大学, 薬品物理化学教室, 助教授 (20061301)
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Keywords | Silicone / Implantable dosage form / Sustained release / Antitumor activity / FUdR derivatives / Carmofur / Tegafur |
Research Abstract |
シリコ-ンマトリックス(ファイコン)からの水溶性薬物の放出性を改善する応用研究の一環として、水溶性制癌薬の放出の改善を試みた。モデル薬物には、時間依存型に分類されている代謝拮抗薬でFluorouracil(5ーFU)のマスク化合物の一つであるTegafur(1ーtetrahydrofurylー5ーfluorouracil)を選択した。テガフ-ルは、生体内で徐々に5ーFUに変換され、各種の実験腫瘍やヒト癌疾患に対して有効であり、その毒性及び副作用は5ーFUよりも軽微である。しかし、水溶性であるためにファイコンからの放出性はあまり良くない。そこで薬物の放出を促進させるための添加剤にグリセリンを選択したところ、pH7.4リン酸緩衝液へのin vitro放出挙動は、ほぼ0次放出を示し30日間での放出量は約30%であった。さらに水溶性で低分子量ののLーアラニンを添加した場合には、放出が促進され放出量も約50%に増加した。テガフ-ルのマトリックスからの放出は、グリセリンの存在によりファイコンの膨潤が起こり水路の形成によることが走査電子顕微鏡によって確認された。ファイコンの硬化(30%w/w以上の添加量では硬化しない)を考慮して、グリセリン濃度は20%w/w以下で行った。ファイコンが硬化するまでの間に起こる薬物放出量(所謂パ-スト現象)は、ファイコンの両液を混合後30分放置することによりほとんど抑制することが可能であることを見いだした。これにより、in vivo実験においても毒性の点から特に問題がないことが確認された。抗腫瘍活性の測定にはグリセリン20%w/w、Lーアラニン3%一定としたテガフ-ル含有ファイコン製剤で行い、リンパ性白血病L1210ではテガフ-ル25mg/0.1ml、固形癌B16メラノ-マでは30mg/0.1ml製剤で最も良好な結果が得られ、またテガフ-ル5日間連続投与の結果と比較してもファイコン製剤の1回投与でほぼ同等な結果が得られた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] KAZUMICHI IMASAKA: "Application of new silicone gel to sustained release dosage form of antitumor drug" Drug Design and Delivery. 4. 237-246 (1989)
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[Publications] KAZUMICHI IMASAKA: "Application of PHYCON 6600 to achieve sustained release of an antitumor drug(carmofur)" Drug Design and Delivery. 5. 159-165 (1989)
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[Publications] 今坂 一道: "植込型徐放性製剤の基剤であるPHYCON6600^<【○!R】>の薬剤学的特性" 薬剤学. 50(3). 256-262 (1990)