1990 Fiscal Year Annual Research Report
超微量フッ素イオンのフロ-インジェクション分析システムの開発
Project/Area Number |
01571188
|
Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50025699)
|
Keywords | フッ素 / フロ-インジェクション分析 / 吸着剤 / イオン交換樹脂 / 予備濃縮 / アリザリンフルオリンブル- / ランタニド金属錯体 |
Research Abstract |
本年度は次の3項目について検討した. 1.昨年度に調製したフッ素イオン選択的吸着樹脂の性能評価法の開発.2.妨害イオンの除去法の開発.3.フロ-インジェクション分析システムの高感度化および試料の微量化. これらに関して次のような成果を得た.1について:開発したフッ素的吸着樹脂はフッ素イオンに対して2種類の結合サイト,すなわち,非特異的結合サイト(イオン交換基)および特異的結合サイト(固定化された金属錯体)を有するが,低濃度のフッ素イオンの吸着の際には,特異的結合サイトの寄与が大きい.従って,通常の吸着剤のように,吸着剤単位重量あたりの吸着量だけで性能評価を行うことは必ずしも適当でなく,むしろ,特異的結合サイトでの吸着の起こりやすさを基に評価すべきであると考え,樹脂上での三元錯体生成の平衡定数を測定した.その結果,この平衡定数の値の大きいほどそれぞれの錯体を固定化した樹脂のフッ素吸着能も大きいことを見いだした.2について:フッ素分析の際,常に問題となるAl^<3+>,Fe^<3+>の妨害を除去するためにデスフェリオキサミンをグルタルアルデヒド法によりポリアリルアミン樹脂を固定化して,アルミニウム(III)および鉄(III)を選択的に捕集する樹脂を調製した.3について:昨年度開発したフロ-分析システムを改良するため,カラムサイズ(直径および長さ)流速,電極表面の研磨状態,溶離剤の種類などの検討を行った. また,本研究で得たフロ-分析システムを実試料に適用するための条件を,環境試料(雨水など)および生体試料(血清など)を用いて検討中である.また,これら実試料についてはガスクロマトグラフ法で得た結果と比較する予定である.
|
-
[Publications] Masahiko Chikuma: "Selective sorption of fluoride ions by anionーexchange resin modified with alizarin fluorine blueーpraseodymium(III) complex" Reactive Polymers. 13. 131-138 (1990)
-
[Publications] Masahiko Chikuma: "Release of fluoride ions from fluorineーcontaining drugs and amino acids in biological fluids" Biomed.Res.on Trace Elements. 1. 245-246 (1990)
-
[Publications] Masahiko Chikuma: "Preーconcentration and determination of trace amounts of fluoride in rain waters using ionーexchange resin loaded with metal complexes of alizarin fluorine blue"
-
[Publications] Masahiko Chikuma: "Determination of equilbrium constants for ternary complex formation between fluoride and alizarin fluorine blueーcomplexes in resin"
-
[Publications] 千熊 正彦: "薬学の機器分析" 廣川書店, 476 (1991)