1989 Fiscal Year Annual Research Report
セファロスポリナ-ゼ型β-ラクタマ-ゼ活性中心機能の研究
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01571194
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
澤井 哲夫 千葉大学, 薬学部, 教授 (70009174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 喜久雄 千葉大学, 薬学部, 助手 (20183478)
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Keywords | β-ラクタマ-ゼ / セファロスポリナ-ゼ / 活性中心 / β-ラクタム抗生物質 / 薬剤耐性 / 部位特異的変異導入 / グラム陰性菌 |
Research Abstract |
病原性グラム陰性細菌Citrobacter freundii GN346株の生産するセファロスポリナ-ゼ型β-ラクタマ-ゼの酵素反応における触媒部位は酵素蛋白N末端より64番目のSer-64であるが、この触媒部位に近接するLys-67残基の触媒反応における役割の重要性を予想し、部位特異的変異導入法によりLys-67がArg Thr、Gluにそれぞれ置換された変異セファロスポリナ-ゼを作成した。Glu-67酵素は酵素活性を完全に失い、Thr-67酵素はきわめて微量の活性を示した。これに対し、Arg-67酵素は野生型酵素の約40%の酵素活性を保持し、この部位における塩基性アミノ酸残基の重要性が明らかにされた。しかし、基質特異性および阻害剤感受性で顕著な変化が観察された。特にプラス荷電を持つ側鎖構造のセファロスポリン剤に対する親和性が著しく低下し、またセファロスポリナ-ゼに特異的な活性阻害剤であるアズトレオナム(単環β-ラクタム化合物)に対する感受性は1万分の1以下に減少した。更に、酵素反応速度に対するpHの影響は野生型、Arg-67変異酵素で、アミノ基とグアニジノ基のpKa値の差をよく反映していた。これらの結果によりLys-67残基が触媒部位Ser-64に次いで重要な役割をもつ残基であることが明らかにされただけでなく活性中心部位における塩基性残基の機能を推測するための多くの情報が得られた。これらの成果は研究発表欄に記載した学術誌に受理され印刷中である。更に、活性中心構造で機能する未知の重要残基を検索するため、合成成オリゴヌクレオチドを用いたat randommな1アミノ酸置換法によりN末端より61、70番目のGluおよびAsn残基の重要性を見出し、この部位の変異酵素を分離してその性質を詳細に検討している。
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Research Products
(1 results)