1989 Fiscal Year Annual Research Report
肝イノシト-ルリン脂質代謝におけるジアシルグリセロ-ルリパ-ゼの役割
Project/Area Number |
01571198
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中澤 泰男 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (50013793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井出 速雄 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (70107316)
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Keywords | ジアシルグリセロ-ルリパ-ゼ / モノアシルグリセロ-ルリパ-ゼ / ジアシルグリセロ-ル生成系 / ラット肝細胞質 |
Research Abstract |
すでに、ホスファチジルコリン(PC)にホスホリパ-ゼCを作用させてジアシルグリセロ-ル(DG)を持続的に生成させる系(DG生成系)を利用し、生理的条件下で高活性を示すDGリバ-ゼがラット肝に存在することを見出している。本年度はDG生成系を用いた際のラット肝細胞質のDGリバ-ゼのキネティックス等を詳細に調べ以下の結果を得た。 (1)DGリバ-ゼはDG生成系でPCから生じるDGを速やかに分解し、MGを生成させるが、MGはさらにMGリパ-ゼ活性によりグリセロ-ルに変換される。(2)PCに少量のDGを加えて調整したエマルジョンではDGリパ-ゼ活性はほとんど検出されない。(3)DG生成系ではDGリパ-ゼ活性はDGの濃度ではなく、DGの生成速度に依存する。(4)DGリパ-ゼ活性をDGの生成速度に対してプロットすると飽和曲線が得られ、二重逆数プロットは直線を示す。(5)DG生成系に対するDGリパ-ゼ活性は細胞質だけでなく、種々の膜画分にも広く分布している。 これらの結果から、(1)DG生成系ではDGはPCリポソ-ムの脂質二重層の外層に生じる。(2)生成したDGその強い疏水性のため速やかに内層に移行し、DGリパ-ゼの作用を受けなくなる。すなわち、DCリパ-ゼは生成直後のDGにのみ作用し、活性はDGの生成速度に依存する。(3)PC-DGエマルジョンではDGの大部分が内層に存在し、基質として利用されない、と結論した。 DG生成系はin vivo同様、脂質二重層中に低濃度のDGを持続的に生成させるものであり、DGリパ-ゼの本来の性質を調べる上で適切な基質供給系であると考えられる。 今後、肝のDGリパ-ゼの酵素学的諸性質やMGリパ-ゼ活性との関連を調べるとともに、DGリパ-ゼの生成を試み、その生理的役割について考察を加える予定である。
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[Publications] Hayao Ide and Yasuo Nakagawa: "Rapid hydrolysis of diacylghycerol formed during phosphstidate phosphatase assay by lipase activities in rat liver cytosol and microsomes" Arch Biochem Biophys. 271. 177-187 (1989)
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[Publications] Hayao Ide Seiko Koyama and Yasuo Nakagawa: "Diacylglycerol generated in the phospholipid vesicles by phospholiase C is effectively utilized by diacylglycerol lipase in rat liver cytosol" Biochim Biophys.Acta. (1990)