1989 Fiscal Year Annual Research Report
ヘモグロビンのヘムの酸化開裂が契機となる赤血球の老化機構に関する分子レベル的研究
Project/Area Number |
01571209
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
廣田 和弘 岡山大学, 医療技術短期大学部, 教授 (50029956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
絹田 正裕 岡山大学, 医学部, 助手 (40135942)
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Keywords | ヘモグロビン / 赤血球 / 酸化 / プロトポルフィリン / ヘマチン酸 |
Research Abstract |
赤血球に老化が存在し、加齢と共に赤血球膜の化学的修飾が起こり、膜の持つ本来の変形能力が劣化していく。この赤血球が脾臓の細い細胞間隙を通過出来ず崩壊する。赤血球中の主成分のヘモグロビン(Hb)が加齢と共に構造変化して、この変性Hbが赤血球膜のバンド3と反応結合して抗体の受容体をつくり、結果として変性Hb-バンド3-抗体のクラスタ-が形成される。加齢と共に進む膜構造変化が膜の変形能の劣化を招き赤血球が崩壊されると考えられている。この老化機構のトリガ-となるのは赤血球中で起こるHbの変性である。 Hb分子は、グロビンとヘムの非共有結合によっても安定化している。赤血球は加齢と共に活性酵素によるHb酸化に対する防御が減少していく、ヘムのプロトポルフィリン環が酸化されると、ヘム構造変化によるHb分子の不安定化が起こりHbが変性していくものと考えられる。 上記の観点に立ち、老化赤血球中にプロトポルフィリンの酸化開裂物質、モノピロ-ルであるヘマチン酸と2つのカルボキシル基をもつジピロ-ル(ペントダイオペント)が存在するかを検討した。赤血球を水で溶血し、硫酸アンモニウムおよび塩酸処理後、酢酸エチルでピロ-ル類を抽出した。分析妨害物質をシリカゲル吸着で除去しジアゾメタンで処理し、モノピロ-ルはメチルエステルに、ジピロ-ルはウォ-タ-ペントダイオペントのジメチルエステルに誘導した。前者は、水素炎付きガスクロマトグラフィ-で、後者は紫外吸収による高速液体クロマトグラフィ-で分析した。同定は、ヘミンの過酸化水素酸化で得た標準物質と比較して行った(クロマトグラフィ-の保存時間と質量分析)。この結果、これらの2種のピロ-ルが正常赤血球中に存在し、Hbのヘムが酸化されている事実を見い出した。今後、ピロ-ル類の量的な面から検討して上述の研究目的を達成したい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kazuhiro Hirota,Masahiro Kinuta: "Hematinic acid in normal red cells" Biochemical Journal.
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[Publications] Kazuhiro Hirota,Masahiro Kinuta: "Defermination of hematinate" Analylical Chemistry.