1990 Fiscal Year Annual Research Report
ストレプトゾトシン実験糖尿病発症機構についての新らしい考察ーキサンチン酸化酵素の重要性
Project/Area Number |
01571212
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Research Institution | University of Tokushima |
Principal Investigator |
川田 純 徳島大学, 薬学部, 教授 (10035537)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 好之 徳島大学, 薬学部, 助手 (20035554)
西田 幹夫 徳島大学, 薬学部, 助教授 (10035561)
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Keywords | ストレプトゾトシン / ATP / ミトコンドリア / キサンチン酸化酵素 / 膵β細胞 / フリ-ラジカル |
Research Abstract |
1.ストレプトゾトシン(SZ)と接触したラット膵β細胞を低張破壊してその上清を高速液体クロマトグラフィ-で分析した。SZ処理を受けた細胞では、無処理細胞と比較して尿酸の生成量が3倍に増加していた。β細胞には尿酸をさらにアラントインに誘導するウリカ-ゼ活性は認められないことから、尿酸は最終産物と考えてよい。したがって尿酸がSZ処理β細胞で多量に蓄積された事実は、SZによるβ細胞内のATP減少によりADPの分解代謝が進み、キサンチン酸化酵素(XOD)の基質ヒポキサンチンが供給されてXODが作動したことを示唆する。XODの作動はO^ー_2ラジカルを発生し、我々の以前の研究でβ細胞のO^ー_2ラジカルを消去するSOD活性が非常に低いことが明らかにされているので、β細胞のこのラジカルによる損傷の危険性が十分に考えられる。 2.SZによるβ細胞のATP濃度の著しい減少の理由は、おそらくSZがミトコンドリアを障害すると考えた。β細胞のミトコンドリアを必要量得ることは不可能なので、ミトコンドリア機能の同一性からラット肝ミトコンドリアを対象とした。SZはミトコンドリア画分に直接は何ら影響を与えなかったが、肝ホモジネ-トの後核画分をSZとインキュベ-トしてから得たミトコンドリア画分を検討したところ、state3,4の呼吸はいずれもSZの濃度依存的に抑制された。またESRスペクトル解析で、・OHラジカルの発生を認め、これは呼吸基質コハク酸の添加で著しく増強された。このようなミトコンドリアでは、ATP産生も対照の60%に低下していることも明らかとなった。 以上の実験結果より、本年度の所期の研究目的を完全に達成することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kawada,J.,Nukatsuka,M.,Yoshimura,Y.,Nishida,M.: "Allopurinol protects pancreatic β cells from the cytotoxic effects of streptozotocin:In vitro study" Journal of PharmacobioーDynamics. 13. 259-262 (1990)
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[Publications] Kawada,J.,Nukatsuka,M.,Yoshimura,Y.,Nishida,M.: "Importance of the concentration of ATP in rat pancreatic β cells in the mechanism of streptozotocinーinduced cytotoxicity" Journal of Endocrinology. 127. 161-165 (1990)