1990 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌に生産させた変異ニワトリリゾチ-ムの巻戻しに関する研究
Project/Area Number |
01571214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 秀徳 九州大学, 薬学部, 助手 (80037613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 正 九州大学, 薬学部, 助手 (90184928)
井本 泰治 九州大学, 薬学部, 教授 (90038282)
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Keywords | 遺伝子工学 / ニワトリリゾチ-ム / 大腸菌 / N末端プロセッシング / デアミデ-ション / 巻戻し |
Research Abstract |
遺伝子工学を利用して、大腸菌にジスルフィド結合を有する外来性蛋白質を生産させると、いわゆるインクル-ジョンボディ-となり不溶化することが多く、これが大腸菌の発現系の価値を著しく減少させている。そこで、大腸菌による外来蛋白質の生産系の有用性を高める目的で、大腸菌に変異ニワトリゾチ-ム生産させ、不溶化したリゾチ-ムの可溶化、純度、N末端のプロセッシング及び巻戻し条件を検討し、以下の結果を得た。1.大腸菌に生産させたリゾチ-ムには、脱アミド化されたものが大量に(通常は80%以上)含まれており、脱アミド化は培養温度が高いほどよく起こることがわかった。2.このリゾチ-ムを10%酢酸で抽出すると、4個以上脱アミド化されたリゾチ-ム(約50%)は抽出されなかった。しかし、昨年度に開発したSH基の可逆的修飾試薬、TSST([Me_3N^+(CH_2)_3S]_2)で環元TS化すると、ほとんどのリゾチ-ムは可溶化され、抽出された。3.N末端にMettyrが付加したリゾチ-ムを生産させ、環元TS化により可溶化した後、カテプシンCで消化することによって、大腸菌に生産させたリゾチ-ムのN末端を天然型に変換することに成功した。4.グルタチオンの酸化環元系を用いて、大腸菌生産リゾチ-ムを環元状態から巻戻した結果、(1)脱アミド化を2個以上受けたリゾチ-ムは全く巻き戻らず、沈澱すること、(2)脱アミド化を受けていない純粋なリゾチ-ムでは、N末端に余分の疎水性アミノ酸が付加したリゾチ-ムの巻戻り率は、天然型リゾチ-ム(約80%)の約60%に低下すること、(3)Asp101のマイナスチャ-ジを消したリゾチ-ムでは、巻戻りの効率が向上することがわかった。したがって、大腸菌による外来性蛋白質の生産系の有用性を高めるためには、N末端のプロセッシング法の開発に加えて、デアミデ-ス欠損大腸菌株の検索が必要であると結論した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ito,Yamada,Nakamura,& Imoto: "Purification,amino acid sequence and some properties of rabbit kindney lysozyme." J.Biochem.107. 236-241 (1990)
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[Publications] Yamada,Yamashita,Domoto,& Imoto: "Reaction of hen eggーwhite lysozyme with tetranitromethane: A new side reaction,oxidative bond cleavage at glycine 104,and sequential nitration of three tyrosine residues." J.Biochem.108. 432-440 (1990)
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[Publications] Ueda,Yamada,Aoki,& Imoto: "Effect of chemical modifications of tryptophan residues on the folding of reduced hen eggーwhite lysozyme." J.Biochem.108. 886-892 (1990)
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[Publications] Koga,Yamada,Nishimura,Kato,& Imoto: "Comparative study on specificities of rat cathepsin L and papain: Amino acid differences at substrateーbinding sites are involved in their specificities." J.Biochem.108. 976-982 (1990)