1989 Fiscal Year Annual Research Report
肺に特異なカルボニル還元酵素の構造、機能および活性調節
Project/Area Number |
01571220
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 明 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (00094334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 誠 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (30188908)
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Keywords | カルボニル還元酵素 / アロステリック酵素 / 酵素構造 / 脂質代謝 / 活性調節 / 活性化剤 / 脂肪酸 / 肺 |
Research Abstract |
1.ブタ肺のカルボニル還元酵素の大量精製法を確立した。本酵素は分子量23000のサブユニットから成るホモ4量体で、金属や糖を含まない単純タンパク質であり、その物理系パラメ-タ-を決定した。本酵素の結晶化法は引き続き検討する。 2.本酵素の異物カルボニル化合物に対する高い反応性と肺における局在性から、その薬物代謝酵素としての機能を明確にした。生体成分では、脂肪アルデヒドだけでなく、3-ケトステロイドをA/B環の立体配位の違いにより3α-または3β-ヒドロキシステロイドに還元し、本酵素が脂質の代謝にも関与することが示唆された。 3.ブタ肺の本酵素は補酵素に対しては協同性がみとめられないが、カルボニル基質に対して負の協同性を示すアロステリック酵素であることを見い出した。また、脂肪酸とビピリジウム化合物はヘテロトロピックな活性化剤であり、本酵素の解離・会合を引き起こさないミクロな構造変化をもたらし、基質によるホモトロピック阻害を脱感作すると考える。このように、本酵素は生理的に基質である脂質とともに、脂肪酸によっても活性調節されることが示唆された。活性化に必要な構造は、ビピリジウム化合物では窒素を含むかまたはアミノ基を有する塩基性芳香族化合物、脂肪酸誘導体では炭素数18から24までの炭化水素鎖とカルボキシル基をもつ脂肪酸であることを明らかにした。 4.本酵素の抗体を作成し、マウス、モルモット、ブタ肺の酵素の免疫学的類似性を確認し、これらの動物肺では本酵素は主としてクララ細胞に局在するが、繊毛細胞、肺胞type II型細菌にも、さらにブタでは気管支腺の導管上皮細胞に分布した。肺の細胞内顆粒の分画によりミトコンドリアとサイトソルに本酵素が分布することを認めた。
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