1989 Fiscal Year Annual Research Report
新しいVIP族ペプチド、ヘロデルミンの機能と受容認識に関する研究
Project/Area Number |
01571222
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
望月 徹 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (00117780)
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Keywords | ヘロデルミン / 持続的血流増加作用 / 受容体認識 / Chon-Fasman / 二次構造 / β-タ-ン構造 / Hd関連ペプチド / 合成 |
Research Abstract |
研究目的に従い、まずヘロデルミン(Hd)に特徴的な持続的血流増加作用とその受容体認識に必須な構造を明かにするためHdのC末端を順次欠いたHd(1-33)-NH_2,Hd(1-31)-NH_2,Hd(1-30)-NH_2,およびHd(1-28)-NH_2の4種類のHd関連ペプチドを液相法により合成した。粗成生物は、逆相HPLCで精製し、アミノ酸分析および逆相HPLCにより精製品が高純度単一物質であることを証明した。得られた4種類のHd関連物質についてSaidとMuttのVIP bioassay法を用い、犬大腿動脈血流増加をHdおよびVIPのそれと比較検討した。その結果、Hd(1-33)-NH_2およびHd(1-31)-NH_2ではHdと同等の持続的血流増加作用を示した。一方Hd(1-30)-NH_2およびHd(1-28)-NH_2では血流増加作用は示すが、その作用の持続性は消失していた。さらにこのペプチドの二次構造をChou-Fasman法により解析した結果、持続作用を有するHd,Hd(1-33)-NH_2およびHd(1-31)-NH_2では分子C端部がβ-タ-ン構造であり、Hd(1-30)-NH_2およびHd(1-28)-NH_2のそれはランダムコイルであった。すなわち本研究によりHdがその特徴である持続的血流増加作用を発現するには31位Thr残基よりC端部ペプチド配列および分子C端部のβ-タ-ン構造が必須であることを明らかにした。ついで以上の知見に基づき、強い血流増加作用を有するVIPのN端部構造と、持続作用を示すHdのC端部構造を合わせ持つVIP(1-11)-Hd(12-31)-NH_2,VIP(1-11)-Hd(15-31)-NH_2および〔Gly^5〕-VIP(1-11)-Hd(12-31)-NH_2の3種類の新たなHd関連ペプチドをデザインし合成した。この3種類のHd関連ペプチドの血流増加作用はいずれもHdの1/5以下であったが〔Gly^5〕-VIP(1-11)-Hd(12-31)-NH_2はVIPとは相加的に、一方Hdと拮抗的に作用することを明らかにし、犬大腿動脈血流増加作用発現においてVIPとHdが互いに異なる受容体を介して作用していることを示す有力な知見がえられた。
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Research Products
(2 results)