1989 Fiscal Year Annual Research Report
動脈粥状硬化の成因と酸化変性低密度リポ蛋白による酸性リパ-ゼの抑制
Project/Area Number |
01571237
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
真栄平 房子 琉球大学, 医学部, 助教授 (80045054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新城 澄枝 琉球大学, 医学部, 助手 (20154388)
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Keywords | 動脈硬化 / コレステロ-ルエステラ-ゼ / 過酸化脂質 / 酸化変性LDL |
Research Abstract |
I動物実験 過酸化油の調製:特級リノ-ル酸(LA)を40℃で空気酸化を行い、LAで希釈してPOV444mEq/kg,COV677mEq/kg,TBA4.8umole/g,末酸化LA86.8%の自動酸化油(Linoleate hydroperoxide,LHPO)を得た。 動物飼育実験:Wistar系♂ラット各群10匹の4群(1)普通食のみ(2)LA投与(3)LHPO投与(4)LHPO+vit.E投与について、成熟令(6週令)の4週間飼育と若令(4週令)の8週間飼育を行った。群間で成長曲線の体重変化を最小限に抑えた状態での過酸化脂質による影響を検討する計画をしたので、LHPOやLAは体重の1/1000を、又vit.Eは2mg/dayを胃チュ-ブで投与した。飼育期間中の平均投与量は、約100〜144POV/1匹/dayであった。 II検体測定 血中や肝のTBA値は成熟令4週飼育と若令8週飼育でLHPO投与群で有意に最も高く、又血中過酸化物にさらされている単核球と胸腹部大動脈の細胞内cholesterol esterase(lysosomal酸性ChEase,microsomal中性ChEase)の活性低下が見られた。特に大動脈では細胞内因性ChE分解酵素である中性ChEase活性低下が顕著(普通食群活性の13%)であった。LHPO投与群のLDLは共役ジエン含量及びTBA値が普通食群の約6倍高値を示しアガロ-ス膜電気泳動で電気陰性度が増加した典型的な酸化変性LDLの移動度を示した。そしてこれはin vitroで普通食群の大動脈、単核球、肝の中性・酸性ChEase活性を低下させる効果を示した。vit.E同時投与群は過酸化脂質の諸作用に対して保護効果を示した。粥状動脈硬化病巣部位にみられるChEを大量に含んだ泡沫細胞の起源は、単球由来のマクロファ-ジや平滑筋細胞とも云われている。本研究の結果から、単核球や大動脈のChEaseに対する血中過酸化変性LDLを介した阻害作用は、動脈壁のマクロファ-ジ泡沫化を促進する要因の一つになる事を示唆した。
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[Publications] 真栄平房子: "コレステロ-ルエステラ-ゼ活性に対する過酸化脂質の阻害効果" 生化学. 61(9). 967 (1989)
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[Publications] Maehira,F.: "In hibitory effects of lipoperoxides on cholesterolesterase-In vivo and in vitoro effects-" Biochemical Medicine and Metabolic Biology.