1990 Fiscal Year Annual Research Report
動脈粥状硬化の成因と酸化変性低密度リポ蛋白による酸性リパ-ゼの抑制
Project/Area Number |
01571237
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
真栄平 房子 琉球大学, 医学部, 助教授 (80045054)
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Keywords | 酸化変性LDL / コレステロ-ルエステラ-ゼ / 培養単核球 |
Research Abstract |
第2年度は,in vitro酸化変性LDLや高脂血症者から分離したLDLを ^<125>I標識して,マクロファ-ジへ分化する単球を含む単核球によるLDLの取り込み量と細胞内ChEase活性抑制効果との関係を明かにするために培養実験を行った。 1.当初in vitro酸化変性LDLは酸化リノ-ル酸により調製する予定であったが,血中に過酸化物を増加させる環境要因として最も可能性が高い喫煙と関連づけるため,Yokode&Kita(1988年)らの方法に従いタバコ煙抽出物で調製した酸化変性LDL(CSーLDL)を用いた。又,高脂血症IIb型血清と正常血清から分離したHCーLDLやNーLDLについて,電気泳動により電気陰性度の強度がCSーLDL,HCーLDLの順に強い事を確認後、MacFareneの方法により ^<125>Iで標識した。 2.正常ヒト単核球を分離し,3日間リポ蛋白欠血清を含む培地で培養後,(1)培養時間経過時の変化をみると,LDLの細胞への取り込み量は経時増加し,6hではHCーLDLやCSーLDLはNーLDLのそれぞれ1.5倍と6倍高く,両ChEase活性も経時上昇したが,CSーLDLでは2〜4h以降で活性低下へと転じた。又,両酵素活性の強度はNーLDL添加時が最も高く,HCーLDL,CSーLDLの順に活性低下がみられた。(2)培養時間4hに於ける各 ^<125>IーLDL添加による変化をみると,LDLの細胞への結合量,取り込み量,分解量は添加量に応じて上昇し,結合量と取り込み量はNーLDLが最も低く,HCーLDL,CSーLDLの順で増加したが,分解量はその逆の順序であり,酸化変性LDL中のラジカルによるApo蛋白分解酵素に対する活性阻害がみられた。又,酸性・中性ShEase活性も添加量100μg/mlでは50μg/mlでのそれぞれの最大活性の約1/2へ低し,蛋白分解酵素と同じくChE分解酵素へも阻害作用がみられた。 以上の事から,第1年度で報告したように酸化油投与ラット血中でみられた酸化変性LDLの生成とそれによる単核球や大動脈のChE分解酵素活性低下と動脈壁のChE増加蓄積との関係は,細胞培養実験でも裏付られた。
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