1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変の分枝鎖アミノ酸療法ー ^<15>Nによるロイシン,バリン代謝の追求ー
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01571240
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Research Institution | Okayama Prefectural Junior College |
Principal Investigator |
沖田 美佐子 岡山県立短期大学, 食物科, 教授 (70079242)
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Keywords | 四塩化炭素肝障害ラット / 分枝鎖アミノ酸 / 安定同位元素 / ^<15>N / ロイシン / バリン / 窒素代謝 |
Research Abstract |
肝障害時の分枝鎖アミノ酸補給にあたり、ロイシンとバリンの補給効果を比較するために、 ^<15>N標識ロイシン( ^<15>NーLeu)とバリン( ^<15>NーVal)を用いて、肝障害ラットにおける ^<15>Nの利用と代謝を追求した。 〈方法〉SD系雄ラットを用いて、四塩化炭素肝障害ラットを作製し、このラットに250μmol/100g体重の ^<15>NーLeuまたは ^<15>NーValを、胃内に投与した。個別に代謝ケ-ジに入れ蓄尿し、採血は頸静脈より行い、5時間と24時間後の肝、脳、大腿骨格筋を採取した。血漿および組織内遊離アミノ酸濃度はHPLC(島津LCー6A)により測定し、アルブミン、尿や各組織内 ^<15>N量は、ミクロケ-ルダ-ル法による総窒素の定量と ^<15>Nーアナライザ-(日本分光)による ^<15>Nの測定によって求めた。また、ガスクロマトグラフィ-による分枝鎖αーケト酸の分析を試みた。 〈結果〉1.肝障害ラットでは、血漿Leu濃度の上昇の遅延とVal濃度の著明な上昇が認められ、対照ラットに比しLeu吸収とVal代謝の低下が推測された。 2.絶食時の肝障害ラットの骨格筋遊離BCAA濃度は高値であるが、 ^<15>NーLeu投与後にLeuやIleが低下し、蛋白分解の抑制が示唆された。 3.肝障害ラットのアルブミン、骨格筋および脳蛋白分画分 ^<15>N量は ^<15>NーLeu群で高く、Leuの利用率が高いことを認めた。 4.肝障害ラットの尿中 ^<15>N排泄量は ^<15>NーLeu群が5時間後に有意の高値で、過剰に投与したLeuは速やかに代謝、排泄されることが認められた。 このように、肝障害ラットにおいて、LeuはValに比較して、血中からの消失が速く、速やかに組織に取り込まれて蛋白合成に利用され、蛋白分解の抑制作用を有することも示唆された。なお、肝障害時のLeuとValの吸収の相違ならびに組織内αーケト酸濃度については、さらに検討を続けていく予定である。
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[Publications] 沖田 美佐子: "肝障害時における ^<15>Nを用いたロイシンとバリン代謝の比較的検討" 岡山県立短期大学研究紀要. 33. 51-54 (1990)
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[Publications] 沖田 美佐子: "肝障害ラットにおける ^<15>NーLーロイシンと ^<15>NーLーバリン投与後の血漿、骨格筋および脳能離アミノ酸濃度と ^<15>N量" 岡山県立短期大学研究紀要. 35. (1991)