1989 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
01571249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 實 東京大学, 医学部(医), 教授 (50009990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯野 正光 東京大学, 医学部, 助手 (50133939)
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Keywords | 小胞体 / Ca放出チャンネル / Ca-induced Ca-release / リアノジン(ryanodine) / リアノジン結合蛋白質 |
Research Abstract |
骨格筋の生理的収縮は、筋小胞体のCaチャンネルの開口により放出されるCaが惹起するものであるが、そのチャンネル開口機序はまだ全く不明である。リアノジン結合蛋白質として単離精製された骨格筋小胞体のCa放出チャンネルは、機能的には生理的Ca放出と全く異なるCa-induced Ca-releaseの性質を持つが、形態的には生理的なCa放出チャンネルと考えられているいわゆるフット構造と同様の外見を呈する。本研究は、両種のチャンネルの異同を明らかにすることにより、生理的Ca放出機序解明と両種のチャンネルの特異的抑制薬開発の基礎確立とを目指している。本年度得た新知見は以下の2点である。(1)Ca-induced Ca-release機構をアデニンにより抑制してCa-induced Ca-releaseチャンネルの二次的開口を十分に避けつつ生理的Ca放出チャンネルを電気刺激で開口させると、リアノジンの拘縮惹起作用が促進された。このことは、リアノジンが生理的Ca放出チャンネルにもその開口時に作用することを示唆する。(2)京都大学医化学教室の沼研究室からウサギのリアノジン結合蛋白質に対する単クロ-ン抗体三種の供与を受けて、そのウサギ骨格筋スキンドファイバ-小胞体からのCa-induced Ca-releaseに対する作用を調べた。三種の抗体の中の二種には著明な作用は認められなかったが、残る一種の抗体は、明らかにCa-induced Ca-releaseを抑制した。この事実はやはり、リアノジン結合蛋白質はCa-induced Ca-releaseチャンネルである、という考えを支持する。これらの研究に当たって、購入したグラフテク社製「サ-マルアレイコ-ダ-」(WR700)を大いに活用した。今後、カエル筋に対する抗体を用いた実験、両種チャンネルの各々の開口条件下におけるリアノジン最大結合量の比較、ダントロレンの両種チャンネルに対する作用の比較、などにより、両種チャンネルの異同を明らかにする予定である。
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